- 2024-3-5
- 睡眠効率アップで集中力UP, 運動の話
こんにちは、中西です。
私が運営するコーチングプログラムのメンバーさんには、朝にランニングをしている人が少なくありません。
その中の1人の体験談として、以前このメルマガでご紹介したのが、
【 睡眠不足をランニングで乗り越える 】
ことができている男性メンバーさんの話でした。
どういう内容だったか簡単に言うと、
「多少睡眠不足になっても、朝にランニングをすれば脳がすっきりして、調子も良くなりました」
という趣旨の体験談でした。
もちろん十分な睡眠を取ることが理想ですが、様々な事情で睡眠不足になることもあるわけです。
その時の参考の一つになればいいと思ってご紹介しました。
この話は科学的なエビデンスがあるような話ではなく、あくまでそのメンバーさんの体験談だったので、その配信ではそういう伝え方をしました。
ただ、私自身も似たような体験があったのと、科学的なエビデンスがなく、その男性メンバーさん1人(+私)の体験談だとしても、
実際にそのメンバーさんは、多少の睡眠不足は朝のランニングによって調節できている実例があるので紹介したわけです。
私は自分自身やこういったメンバーさんを始めとする「個人の体験談」は結構重視していて、
科学的なエビデンスがなかったとしても、参考事例として紹介する事はよくあります。
個人の体験談を「そんなものはエビデンス1でしかない」とか言って馬鹿にしている著名インフルエンサーを以前見たことがあるのですが、
その人物はYouTubeのほぼすべての配信を「ある有名な人気無料ブログの数年前の過去記事を台本にして、その過去記事をただそのまま読み上げて朗読しているだけ」の配信を行って視聴者を騙していることに私が気づいてしまい(多分日本で私しか気づいてない)、
他人の無料ブログを一字一句そのまま読み上げるだけの配信に興味はありませんし(その元のブログに全部同じ内容が書いてあるので)、そんな配信をしているわりにやたら上から目線の発言や給与所得者・社会的弱者を侮辱する発言が多く、色々ばかばかしくて見る気も失せたのですが、
そもそも、科学的な研究で判明したといっても、因果関係ではなく相関関係があるだけだったり、「10人中7人に効果が見られた」みたいな結果も多いわけです。
これをまるで誰でも全員に当てはまる絶対的真実かのようによく表現されていたのですが、10人中7人に当てはまっても、自分は残りの3人の場合もあるわけです。
すると、その研究結果は「世の中の多くの人に当てはまるけど、自分自身には全く当てはまらない」ということは普通にあり得ます。
つまり、「科学的なエビデンス」と言ってもその程度のことも多いわけで(メタ分析や大規模調査になると信用度は高まりますが)、
最終的には「自分自身に当てはまるかどうかを、自分自身で検証するしかない」と言うことになります。実践する場合、このプロセスを避けることはできません。
そうであれば、「たった1人の個人の体験談」であっても馬鹿にできず、一定以上の人の参考になる事は充分あり得るわけです。
しかも私の経験上、結構な割合で、科学的な研究よりも先んじている個人の体験談は多く存在します。
私も自分が体験的に理解していたことを、何年も後になってから、ようやく科学的に認められたことは山ほどありました。(短時間きざみはその典型)
その場合、「個人の体験談」を軽視して「科学的エビデンス」しか参考にしないなら、
その体験談の内容が研究で認められるまでの間、大きな機会損失を伴うことになります。短時間きざみの普及も10年遅れたでしょう。
それではもったいないので、
「誰かがうまくいっているやり方なら、自分もうまくいくかもしれない」
と思って、1個人の体験談も参考にして、気軽に試せばいいだけだと思います。
いずれにしろ、「最終的に自分で検証しなければならない」と言う点は、どちらも変わりません。
そういった意味で、私は「科学的な研究」も「体験談」もどちらも重要だと考えていて、
「たった1人の個人の体験談」
であっても「エビデンス1人じゃんw」などと馬鹿にせず、それなりに重視しているため、このメルマガでもよく体験談をご紹介しております。
で、話を戻すと、睡眠不足の状態になった場合、当然ながら、そのままの状態ですと、
日中のパフォーマンスが低下するリスクが高まります。
冒頭で紹介した男性メンバーさんは、その睡眠不足をランニングで補って調整していたわけです。
繰り返しますが、そのメンバーさんは、
「多少睡眠不足だったとしても、朝にランニングをすると1日の調子が良くなります。」
とおっしゃっていて、
「だから、もう10分寝る位なら、その10分をランニングに使う方がいいです」
ともおっしゃっていました。このように
「睡眠不足を運動で補う」
ということが可能という研究などを私は知りませんでしたが、
少なくともそのメンバーさんは体験的に可能だと実感していて、日中の調子も良いということですし、私自身にも心当たりがあったので、ご紹介しました。
そして、ここからが本題ですが(本題まで長い)、
このとき男性メンバーさんが話していた体験談を裏付ける、海外の研究を見つけました。
イギリスのポーツマス大学が中心に行われた研究ですが、結論から言いますと
【 睡眠不足の状態でも、20分程度のゆるい運動をすることで、脳の機能を通常レベルに戻すことができる 】
ということが先月発表されておりました。
ちなみに、私がそのメンバーさんの「睡眠不足をジョギングで補う話」をしたメルマガは、
数ヶ月前(たしか昨年の終わりごろ)に配信しておりますので、入れ違いで発表された感じですね。
【参照】本メール下部に記載
この研究の被験者は、平均年齢が20代の健康な男女24人で、2つの実験を行いました。
1つ目の実験は、睡眠時間を5時間に制限して3日間過ごす。
2つ目の実験は、徹夜をさせられる。
(+酸素濃度の低い部屋に入れられ、酸素濃度が睡眠と脳に与える影響も調べる)
どちらの実験も、何もしていない場合と、20分間のゆるめのサイクリングをした場合とで、認知テストの結果を比較しました。
その結果、睡眠時間が5時間に制限された場合も、徹夜をした場合も、
20分間のゆるいサイクリングをしたら、テストの結果が向上し、脳の認知機能が高まることがわかりました。
わかりやすくざっくり言うと、
「睡眠不足で多少頭がぼーっとしている時でも、
サイクリングなどの運動をゆるくやるだけで、脳が活性化して頭を通常レベルに戻せるよ」
・・・という感じです。
つまり、プログラムの男性メンバーさんが睡眠不足の日に朝のジョギングで体験的に感じていたことが、そのまま研究で認められたと言うことになります。
(ちなみに、そのメンバーさんの毎朝のランニング時間は、10〜15分)
長期にわたり慢性的に睡眠負債が溜まっているような睡眠不足だとどうなるか分かりませんが、
少なくともこの実験では1日単位の睡眠不足なら、脳の機能は運動で回復しているので、
短期的・一時的な睡眠不足であれば、20分ぐらいゆるい運動をすると、脳の認知力は回復できる可能性が高そうです。
まぁ、20分とかサイクリングと言うのは、あくまでこの実験の話ですので、
時間や運動内容はこのパターンじゃないといけないわけではありません。試す場合は、ご自身で調整してみてください。
ただ、自分で試して効果を感じたとしても、この研究結果を重宝しすぎて、
「運動をすることを前提に、日々の睡眠不足を改善せず、睡眠不足を許容する」
というのは本末転倒に近いので笑、やめたほうがいいと思います。あくまで
「不本意に睡眠不足に陥ったときの応急処置のテクニック」
というふうに考えたほうがいいと思いますね。
というわけで、睡眠はもちろん充分取るのが理想ですが、何らかの事情で睡眠不足に陥った時は、とりあえず、
「時間の許す範囲で、ゆるい有酸素運動をしてみる」
ことで睡眠不足による脳機能のマイナスのダメージを、それなりのレベルまで補えるはずですし、
20分前後のゆるい運動なら副作用もありませんので、よかったら睡眠不足で困った時に試してみてください。
【参照】The effects of sleep deprivation, acute hypoxia, and exercise on cognitive performance: A multi-experiment combined stressors study – ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0031938423003347