- 2023-5-28
- 経済の話
こんにちは、中西です。
この週末のYahoo!ニュースでずっとトップに上がっていて、Googleでもトレンドに入っていた
「アメリカのデフォルト危機」
の問題が、本日「解決」したようです。
(デフォルト=債務不履行≒財政破綻のこと)
結論から先に言っておきますと、こんなものは茶番中の茶番なのですが、日本でもアメリカでも、国民の99.9%は気づいてないでしょう。
ようは「日本の借金問題」と本質は全く同じです。
▼米債務上限引き上げ基本合意 デフォルト回避へ31日採決 – 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26D1X0W3A520C2000000/
▼米 債務上限引き上げ バイデン大統領と下院議長が原則合意 | NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230528/amp/k10014080691000.html
そもそもこれがどういう問題だったのか簡単に説明しますと、
アメリカの債務(政府の借金と考えられているもの)が、「法律で定められている上限」にまもなく到達してしまうせいで、
「アメリカがデフォルト(財政破綻)しそうになっている!!ヤバいよヤバいよ!!」
という問題(本質的には茶番)です。
アメリカは日本と同じように、自国通貨建ての国債を発行しているわけですが、結果として経済の成長と引き換えに「借金に見える政府の債務」が、年月とともにどんどん積み上がっていきます。
資本主義社会であれば、政府が国債を発行して国民に通貨(お金)を提供することで、経済が発展していきます。
よって政府の債務残高が年月とともに増えていくのは当たり前なのです。そうやって国家の経済は成長するものだからです。
実際、世界中のどこの先進国も50年100年単位で見れば、政府の債務残高は右肩上がりで増えています。
日本では「国の借金が1200兆円にもなった!!」とマスコミや不勉強な知識人や経済学者が大騒ぎしていますが、アメリカはこの4倍近くになっています。
アメリカの政府債務は、今年1月に日本の4倍近くにもなる約31兆4000億ドル(約4400兆円)に到達し、その数字が法律上の上限に到達していることにより、「デフォルトの懸念」とやらが高まっていました。
しかし、こんなものはリスクでもなんでもなく、100%確実に回避できるものですので、そのポイントを理解している人なら「茶番以外の何ものでもない」のがはっきりとわかるのです。
先週水曜日にお話しした「78歳のおじいちゃんが、人生トータルのお昼ご飯の合計を計算したら1200万円になって大騒ぎしている」のと同じ。
日本とアメリカの「借金」の違いは、アメリカは法律で上限が決まっていることです。
その上限の額を超えてしまうと「デフォルト(財政破綻)」と言うことになってしまうのですが、これまで何度も何度も、その法律の上限を変更してしのいできました。
今回も、上記の記事のタイトルを見てもわかる通り、
「債務の上限の引き上げ」
で対応して終わりました。
勘のいい方ならもうわかると思いますが、この政府の債務に上限を設定している
「アメリカの法律自体が根本的に間違っている」
ということです。法律ごときを金科玉条の絶対真理のように思い込んでいる法律馬鹿の知識人は逆に気づけないのかもしれません。
(先週水曜日に本メルマガで徹底批判した有名弁護士の明石順平氏や、
同じく有名弁護士&衆議院議員で2年前にも全く同じアメリカの債務上限によるデフォルトリスクの報道があったときに、大喜びでMMTを批判しながらリツイートしていた、MMTを理解できない残念な米山隆一議員など、その典型かもしれませんが。
結局その2年前も、アメリカは法律の上限を変更して、あっさりとデフォルトを回避しています。)
したがって、今回の報道で、「アメリカのデフォルトリスク」とやらを本気で心配していた国民や政治家がいたとしたら、
財政について根本的に理解できていないか、マスコミの間違った報道に洗脳されているかのいずれか、と言うことになります。
何度もこのメルマガでお伝えした通り、自国通貨建ての国債を発行している国において、国債を発行することによる政府の債務残高の増加は、1ミクロンも問題がありません。
アメリカのように、法律そのものが根本的に間違っていると、本質的には何の問題もないにもかかわらず、「政府の債務の増加」が、まるで
「国家存亡の危機」
のように錯覚してしまう事があるわけです。
ところが、国債の発行=通貨の発行ですので、政府の赤字が増えたとしても、それと同時に、民間(国民)が黒字になって豊かになりますので、国民にとって良い事しかありません。
そして、自国通貨建ての国債ですから、政府の債務は返済する必要が全くありません。(借り換えや中央銀行の買取で終わり)
まして、「政府の赤字を国民への増税で補う」などというのは、100%完全に頭がおかしい政策になります。まあ、それを自民党・岸田政権はやり続けているわけですが。
100億歩譲って、政府の債務が増えることが何か問題だったとしても、たとえば
「100兆円玉」
の硬貨を政府が10枚つくり、それを子会社の日本銀行に買い取らせれば、
「日本の借金問題」
とやらは、あっさり完全終了となります。
これは普通に現実的な対処法なのです。
一万円札などの紙幣には「日本銀行券」と記載がある通り、日本銀行が発行しているわけですが、「硬貨」については政府が発行できます。
「100兆円玉」
を政府が10枚作り、それを子会社の日本銀行が買い取った場合、政府は1000兆円のお金を手に入れることができます。
このとき国債を発行する必要は全くなく、日本銀行の職員がパソコンのキーボードで数字を入力するだけで、政府の口座(日銀当座預金)に1000兆円が入金されるのです。(信用創造という普通のオペレーション)
この1000兆円は、政府にとって債務ではなく、日本銀行に100兆円玉を10枚販売した売り上げのようなものですから、政府の純粋な資産になります。
そして日本銀行はその買い取った100兆円玉10枚を保有し続ければいいだけです。日銀の資産になりますし、いずれにしろ実態として政府の子会社なのですから。
つまり「100兆円玉」を10枚作ることによって、日本政府は1000兆円を0から生み出したことになります。
汚い錬金術でも何でもなく、通貨発行権があるのですから何の問題もない方法です。
繰り返しますが、この1000兆円は債務になりませんので、政府の債務残高(多くの人が国の借金と勘違いしてるもの)も増えません。
これで「日本の借金問題」とやらはあっさり解決ですヽ(´▽`)/
そもそも政府には通貨発行権があるわけですから、お金を作り出せるんですよ。
自らお金を作り出せるのに、なんで政府が借金の返済で破綻するのですか?という話。
自らお金を作り出せるのに、なんで国民は税金をたくさん取られて苦しんでるんですか?という話。
冷静に落ち着いて考えれば、小学生でも「おかしい」とわかる理屈なのです。
「100兆円玉」の話、荒唐無稽なアイディアだと思いますか?
これをやっても、何の制約もなく、実務として簡単にやれて、それで国民が救われるのですから、やればいいだけです。
実際、アメリカ政府は、今回本気でそれをやろうとしていました。
▼債務上限問題で米国政府にデフォルトリスク:米政府が1兆ドルのプラチナコイン発行を検討 | 2023年 | 野村総合研究所(NRI)
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2023/fis/kiuchi/0126#
上記の記事のアメリカ政府が検討していた
「1兆ドルのプラチナコイン」
というのが、先程の例で言う
「100兆円玉」
と同じものです。
つまり、アメリカ政府は本気で
「100兆円玉」
のようなものを作って、
(根本的に間違っている)「法律の上限の制約」を乗り越えようと今回検討していたのです。
最終的に、債務の「上限の引き上げ」で今回も対応しましたが、
ぶっちゃけ「1兆ドル玉」でも「上限の引き上げ」でも、どちらでも良い話です。
この問題において大事なのは、本質論であり、
「ようは日本もアメリカも自国通貨建ての国債を発行しているので、国が破綻することなど物理的に絶対にありえない。
間違った法律の制約(債務の上限)があるなら、その制約を変えればいいだけ。
そんな制約のために国が破綻するなんて、馬鹿馬鹿しい選択を米政府がするはずがない。」
と言うことをわかっていれば、アメリカのデフォルトリスクの報道がいかにばかばかしいか、つまり最初にお伝えした
「茶番」でしかない
ことがはっきりわかるのです。
残念ながら、この程度の解説すら日本のマスコミは全くしませんし、上記の通り国内の知識人・経済学者・エコノミストや政治家すらもまともに理解できていないせいで、相変わらずまだ、
「日本は借金大国で大変だ!財源がないから増税するしかない!」
「アメリカが財政破綻するリスクが高まっている!」
みたいな報道が大拡散され、99.9%の国民が何が真実かに気づかず、不安に駆られてしまっています。
アメリカはまだ政府が財政出動をして経済成長して、少し前まで景気が過熱していた流れがあるからいいですが、
日本は財務省と自民党(特に岸田政権)のせいで、国民が貧困化しまくっている中で、政府が債務を増やすことを恐れて財政出動をしていない上に、国民から増税をしまくり、
今や五公五民で、まもなく六公四民という狂いまくった財政政策をずっと行っているため、
はっきり言って、日本の経済は絶望的な状況です。
「財政観の間違い」
という似たような問題を抱えていても、アメリカの足元にも及ばない状況になっています。
(イエレン財務長官はわかっているっぽいですし、ノーベル経済学賞を受賞したバーナンキの政策を実際に何度も実行して不景気から脱却しているところを見ると、アメリカの財政当局はしっかりわかっていると思われます)
「財政の真実」
を理解できない国民・政治家が大半を占めている限り、
日本は今後も、自分たちの利権と省益しか頭にない財務省のクズ小役人の連中によって、国民が貧困化させられ、最も大事な
供給能力(企業などが商品やサービスを提供する能力。道路・鉄道・橋・水道などのインフラ提供力も含む)
が低下していくことになります。ひどい場合は経済力のある外資企業や隣国に買収されて行きます。
本当の意味での国家の破綻と言うのは、この「供給能力」の著しい毀損のことであり、国民が
「政府の借金が問題」「財源が足りない」
というフィクションをいつまでも信じていると、心理学で言うところの
自己成就予言
という皮肉すぎる形で、
最終的には、フィクションだったはずの国家破綻が、現実化してしまうことになります。
それではまた。