- 2026-5-4
- 石油危機・イラン戦争
こんにちは、中西です。
ホルムズ海峡の封鎖に、少し希望が見えてきました。
トランプ大統領がSNSに投稿した内容によると、
ペルシャ湾で立ち往生している船舶をアメリカが誘導し、ホルムズ海峡を安全に通す措置を始めるようです。
▼ホルムズ海峡から船舶誘導 米軍が4日開始とトランプ氏(共同通信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/52de4ff58acd71bf1aab9d1da513c46da06d9ce6
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【ワシントン、テヘラン共同】
トランプ米大統領は3日、ペルシャ湾で立ち往生している船舶を米国が誘導し、ホルムズ海峡を安全に通過させる措置を現地時間4日午前(日本時間4日)に始めると交流サイト(SNS)で発表した。
詳細は明らかにしなかった。
イランが事実上封鎖しているホルムズ海峡を、米軍が護衛して通過し、オマーン湾に抜けさせるとみられる。
これに先立ち、イラン外務省報道官は、イランが戦闘終結の再協議に向けて示した14項目の提案に対し、仲介国パキスタンを通じ、米国から返答があったと明らかにした。
内容には言及しなかった。国営テレビが伝えた。
トランプ氏は投稿で、米代表団がイランと「非常に前向きな議論」を行っており、「とても好ましい結果につながる可能性があることを認識している」と述べた。
ペルシャ湾からの誘導措置は「米国、中東諸国、特にイランを代表して実施する人道措置だ」と主張し、妨害された場合には断固対処すると強調した。
国際海事機関によると、ペルシャ湾には約2万人の船員と2千隻近くの船舶が立ち往生している。
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そもそもアメリカがイスラエルと一緒にイランを攻撃したせいで、こんな事態になっていたわけですし、ホルムズ海峡の封鎖もアメリカが途中からやり出したことです。
それを自ら緩めて、何かいいことをしたような感じになっていますが、マッチポンプともいえますし、DV男の手口にそっくりだとも感じます。
とはいえ、状況が良くなっているのは確かです。
そしてもう一つ、根本的にアメリカがもう攻撃しない可能性が高い要因があります。
これはメルマガ読者さんにリンクをいただいて読ませてもらった、副島隆彦氏の記事に書かれていたのですが、
アメリカにはベトナム戦争の教訓から、1973年に
戦争権限法
という法律ができました。
その法律というのは、大統領が軍事力の行使を議会に最初に通知した後、60日以内に軍事行動を停止するか、作戦継続のために議会の承認を求めるかを決定しないといけないというもののようです。
そしてトランプ政権は3月2日に、イランに対する軍事行動を開始する意向を正式に議会へ通知したため、
この法律に基づく60日間の最終期限は5月1日に満了するようです。
この60日の期限を過ぎた後は、大統領は議会の承認を得ないと戦争の実行が行えないようで、その期限が5月1日に終了してしまったので、実質的に戦争は終わったに等しいというような話でした。
実際、最近はずっと攻撃のようなものは行われていなかったと思います。
この60日間の期限というのは、私はホルムズ海峡が封鎖されてから、何かの記事で一回ちらっと見た記憶があります。
ただ、すっかり忘れていましたし、そもそもそれが戦争を終わらせるほどの効力のあるものという認識はあまりありませんでした。
しかしどうやら、トランプが好き放題できる期間は、この戦争権限法の内容を見る限り、5月1日で終わった可能性が高そうです。
そもそもこの法律の起源とは別に、アメリカが非常に不利な状況になっていたのは、多くの識者の一致する見解となっています。
トランプの言動を見ても、戦争を自分のプライドが維持できる形で終わらせようとしているのが感じ取れる状況でした。
とはいえ、イランも全くアメリカの提案に乗っていませんでしたし、アメリカ側もイランの提案を受け入れていませんでした。
そのため停戦になったとしても、情勢がこじれる可能性は残っていましたし、それは今でも変わっていないと思います。
ただ最大の問題は、ホルムズ海峡が完全に開放されるかどうかです。
これができなければ、6月には大変な状況になるというのは、ナフサの観点からも、備蓄原油の観点からも、数字ではっきりしていました。
停戦になったとしても、ホルムズ海峡は封鎖されたままになる可能性も十分ありましたし、今でもそうです。
しかし今回の最新のトランプ大統領のSNSの投稿を見る限り、少なくともアメリカ側は、ホルムズ海峡の封鎖を緩めようとしているように見て取れます。
これまでは、イランとアメリカの両方が海峡を封鎖している二重封鎖のような状況でした。
これでアメリカが海峡の封鎖をやめれば、少なくとも二重封鎖のうちの一つが消えるわけですから、あとはイラン次第ということになります。
ただ、停戦になっていてもお互いが条件を出していますので、その条件を飲めなければ話がこじれて、引き続き封鎖が続く可能性も十分あります。
そのため油断はできません。
(この原稿執筆の数時間前に、アメリカの船舶がイランに爆撃された情報と映像が流れていましたので、これが本当なら、まだこじれる可能性は充分ありますが)
これまでずっと「日本だけ抜け駆けしてはいけない」という意味不明な理由で、イランとの交渉を拒んでいた無能の極致の茂木外務大臣も、今頃になって、これまでの方針をしれっと変更して、イランと交渉を始めたようです。
出光丸の件もあり、今頃ようやく事の重大さに気づいた可能性が高いと思います。
とはいえ、イランは最初から日本とは友好関係にあると認めていて、日本が交渉してくれたらホルムズ海峡を通過させるとずっと言ってきました。
日本側がイランと交渉するなら、海峡が開放される可能性も十分あると思います。
しかもこの問題は、単にホルムズ海峡が開放されるだけでなく、機雷の問題が残っています。
機雷が除去されないと、タンカーに保険が適用されない可能性が高いため、そうなると、戦争が終わって、かつホルムズ海峡の通過が許可されたとしても、保険が下りないせいで動けないというリスクも残っているわけです。
いずれにしても、現在まだ41隻ものタンカーが停滞しているのは事実です。
在庫の少ないナフサは、中東以外からの輸入を通常の45万キロリットルの3倍の135万キロリットルにする見込みが立ったと政府は発表しましたが、それは5月だけの話であり、6月以降は未知数です。
また、これまで何度か書きましたが、ナフサは中東以外からの輸入は3倍になっても「6月に詰む」というのが、資源エネルギー庁アドバイザーの境野氏のデータで判明しています。
(高市総理と政府は、それをデマだと根拠も説明せずにレッテルを貼って潰そうとしましたが、政府の話の方がデマだった事は、既に日本中のサプライチェーンの企業の現状や大量の悲鳴が証明しております。)
そしてホルムズ海峡から日本まで20日かかります。
41隻のタンカーにどれだけナフサがあるのかは全くわかりませんが、海峡が安心して通過できるように今すぐなったとしても、日本到着は5月末ごろ、開放と同時に出発した分は往復で40日近くかかるので、今すぐ出発しても戻りは6月中旬。
ナフサの需要が供給を上回る6月に間に合うか、間に合わないかのギリギリの状況になっているのは変わりません。
希望はこれまでと比べればずいぶん出てきたように思いますが、
私たちにとって一番大事なのは日本国内の状況が間に合うかどうかですので、今のところ油断は全くできない状況です。
こじれずこのまま必ず収束すると、(確かな根拠をもとに)言い切れる人はおそらくいないはずで、そうであるなら、確証が得られるまではどう考えても油断は禁物です。
昨日も分析しましたが、あと1ヵ月半もこじれ続けたら物流は止まり、大恐慌コース突入ですから。その確率が30%だったとしてもヤバすぎるわけです。
明日の降水確率30%だったら傘を持たない人もいるかもしれませんが、明日の大地震の発生確率30%だったら、備えない人はいません。それに近いと思います。
ここは危機管理の基本に立ち返って、自分に都合よく考えたり、楽観的な希望的観測に乗っかったりするのではなく、
確証が得られたり、確率が激しく低下しないうちは、悪い状況の方を想定しておく必要があります。
結果、何事も起こらず拍子抜けしたなら、
それが最善かつ最も美しく、ベストな終わり方だと思います。


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