- 2025-3-22
- 経済の話
こんにちは中西です。
最近SNS上で緊急事態条項がまもなく採決されるという話があり、大騒ぎとなっております。
具体的には3月27日に憲法審査会があり、ここで緊急事態条項が議題に挙げられ、採決の方向に話が進もうとしているというような内容です。
Xでも「#緊急事態条項断固阻止」というワードがトレンドに挙がっていました。
緊急事態条項をご存じない方のために、どういうものか簡単に説明すると、
コロナの時のような感染症によるパンデミックや、大災害・戦争時など
【 「緊急事態が起こった」と政府が判断した時点で、国民に様々なことを強制的に実行し、国民の基本的人権や財産を制限・奪うことが可能になる 】
というメチャクチャやばいものです。
実態としては「緊急事態」という口実で、国民にとって命に関わるようなことを強制してくる可能性が極めて高くなります。
例えば、
▼預金封鎖をして財産を没収
▼兵役の義務を課す
▼感染症対策としてワクチン接種を強制
▼「誤情報拡散防止」を名目に言論統制やSNS規制
▼「テロの危険性」などの名目で通信の秘密を消失させて、やり取りを監視
▼「社会不安を煽る」としてデモや抗議集会を禁止
こういったことも可能になります。
先のコロナの緊急事態制限は「自粛の要請」にとどまりましたが、それは憲法で国民が守られていたからです。
しかし緊急事態条項が導入されると、「要請」ではなく「強制」が可能になります。
自民党はこの緊急事態条項を通す方向に進んでおり、保守層に人気のある高市早苗氏も
「緊急事態には政府が国民の私権を奪う必要がある」
といった極めて危険な発言を平気でしています。
コロナ時の例を見ても、政府が緊急事態かどうかの判断をまともにできるわけがありません。
自分たちの利権団体がその緊急事態を利用して儲けようとするろくでもない要望をしてきても平気で受け入れ、それを国民に強制してきます。
自民党は国民の生活よりも、自分たちの利権団体へ利益を与えることばかり優先してきましたので、今後もそうなります。
100歩譲って緊急事態条項が通ったとしても、本当に国民の命と生活・財産を守るためにまっとうな政治が行われているなら、政府に緊急事態時の対策を安心して委ねることも可能かもしれません。
しかし最近はもちろん、この10年20年の自民党政権を見てそう思える国民がいたとしたら、完全にお花畑です。
今の自民党政権のような状態であれば、間違いなく自分たちの私利私欲のために緊急事態を悪用し、
国民の財産や仕事・人権・生活・命を奪いに来るでしょう。これは断言できます。コロナでもやったので。
簡単に言うと、緊急事態条項は戦前の体制に戻すようなものであり、歴史的にも非常に危険な条項であることが証明されています。
実際、ナチスは緊急事態条項を悪用しました。
当時のワイマール憲法第48条により、大統領は「公共の安全が危険な状態にある」と判断すれば、国会の承認なしに軍隊の出動や基本的人権の一時停止などが可能でした。
ナチスは1933年の国会議事堂放火事件を口実に緊急事態を宣言し、この条項を使って共産党や政敵を大量に逮捕・排除しました。
このように「緊急事態条項」があったからこそ、ナチスのような独裁的な体制が生まれたとも言えるのです。
そのため、これほど危険な条項が現実に導入されようとしている今、多くの人が危機感を持ち始めています。
とはいえ、現時点で3月27日に緊急事態条項が憲法審査会で審議・採決されるというのは、完全なデマです。
立憲民主党の枝野議員がこれを否定しており、これは誤情報であることは間違いないと考えられます。
立憲民主党もまともな政党とは全く思いませんが、この点に関しては事実です。
また、この問題の非常に重要なポイントとして、
【 緊急事態条項は憲法の内容を大きく変えるものなので、憲法改正が必須 】
という点です。
一般的な法律のように閣議決定では通りません。
そもそも、緊急事態条項は法律ではなく、憲法を改正して憲法に入れるものになります。
よって、法律よりはるかに上のものになるため、こんなものが万が一憲法に含まれてしまった場合は、極めて危険な状況になると言うことです。
ただ、憲法改正には以下の2つの条件が必要です。
①衆議院と参議院の3分の2以上の賛成
②国民投票で有効投票の過半数を獲得
この2つを満たす必要があります。
このハードルは極めて高く、戦後これまで一度も憲法改正が行われたことはありません。
したがって、3月〜4月に急に採決されるという話は非現実的です。
SNS上ではまことしやかにその説が広がって信じている人が山のようにいますが、
おそらく「SNS規制(情報流通プラットフォーム法)」の4月施行と、「3月27日の憲法審査会」の話が混合して、噂が広まったものと思われます。
とはいえ、緊急事態条項が極めて危険な内容であることは事実であり、自民党が導入に向けて動いているのも事実です。
今後、7月の参院選で自民党が勝利すれば、さらにこの緊急事態条項の導入が現実味を帯びてきます。
この条項が導入されてしまえば、緊急事態が「いつ終わるか」という明確な基準もなくなり、
「緊急事態だから今は選挙はできない」
と言う現時点ではありえない詭弁を通すことも可能になり、
政府が半ば永続的に政権を維持し、国民をコントロールし続けることが可能になります。
緊急事態の定義が解釈次第でどうとでもなるので、政権を延命したいなら、選挙すらさせないことも可能になるのです。
日本の戦前や北朝鮮や中国並みの国家になる危険性があるのは間違いありません。
私は、憲法改正が必要である以上、仮に衆参で3分の2を獲得しても、最終的には国民投票で否決されるだろうと思っているため、現時点ではそこまで強く心配していません。
しかし、自民党が本気で通そうとしているのは間違いないため、やはりこの国民の敵でしかない狂いまくった党を、早く政権から引きずり下ろすべきだと強く思っています。