- 2025-3-23
- 働き方・キャリアの話
こんにちは、中西です。
「時間とお金のどちらが大事か」
というのは、日常生活で悩むこともよくありますし、自己啓発においてもよく出てくるテーマです。
長期的な自分の人生やキャリアの観点でも、この点でいろいろと頭を悩ます人も少なくありません。
実は、「時間を重視する人」と「お金を重視する人」では、意思決定や幸福感に違いがあるという先行研究があります。
今回ご紹介する研究は、その視点をさらに拡張して、人生の大きな転機、今回は
【 大学卒業において、その「お金か時間か」のどちらかを重視する選択が、1年後の幸福度にどう影響するか 】
を検証したものです。
※参考:本メール下部に記載
これはハーバード大学のビジネススクールの研究ですが、「時間かお金か」のどちらの価値観が、卒業後の活動選択や幸福感に与える影響を検証したもので、
どのような行動を通じてその効果が生じるかを明らかにする目的で行われました。
対象者は、大学卒業予定の約1000名。
まず大学卒業前に価値観・幸福度・背景要因を測定し、卒業後1年後に再び調査をして、活動内容や幸福度を評価しました。
結果としては、
【 時間を重視する人は1年後により高い幸福度を示している 】
ことが分かりました。
ポイントは、彼らは「内発的にやりがいを感じる活動」を選びやすかったようです。
そしてこの「内発的動機づけ」が、「幸福感の向上」を媒介する重要な要因であることが判明しました。
つまり「やらないといけないから」という義務感や「誰かから言われたから」といった強制的な理由ではなく、
「やりたいからやる」
という感じの活動です。
また研究者は「時間の方が大事だと答えた人が幸福だったのは、短時間労働を選んだからではなく、やりがいがあって楽しめる仕事に就いたからでした」と指摘し、
「職業を選択する際は収入や名声にとらわれないほうが幸せになれる」とも話しました。
この研究により、時間をお金よりも大切にするという価値観の人は、人生の転機においても長期的な幸福を高めるということがわかりました。
その理由は、「やりがいのある活動を選ぶ」という行動の違いに出てくるようです。
確かにお金を重視する人というのは、自分のやりがいがどうかよりも、損しないことや儲かる活動を選ぶということになると思います。
それが幸福度の違いになって現れるということです。
「お金か時間か」というのは、買い物だとか日常の意思決定でもよく見られる判断基準ですが、
それだけでなく、人生の転機となる進路選択やキャリア形成などの重要な局面にも、この価値観は影響を与えるということです。
ただし、これは「お金が重要ではない」という話では全くありませんので、ご注意を。
「お金と時間のどちらを価値観として重視するか」ということですので、「お金以上に時間を重視する」のが大事で、幸福感を高めるということです。
お金のことを考えるのが重要でないというわけではありません。
まして今のような日本の状況であれば、お金を軽視していたら人生がどんどん縮小していきますので、そこはしっかり考える必要があります。
私のコーチングプログラムのメンバーさんの目標を見ていても、年収アップのための勉強・副業・投資・老後資金などお金に関するものを設定している人も非常に多いです。
これはもう当たり前の話で、今の日本でただ単に仕事をして帰宅してプライベートを過ごしている循環だけですと、ほぼ確実に人生が行き詰まっていきます。
だからお金について考え、自分なりの取り組みを行っていくことは非常に重要。
ただし、やりがいなどの内発的動機付けを無視して、お金を稼げるだけの仕事を選んだり、
時間よりお金ばかりを追いかけるような考え方や、買い物や日常生活における判断でも、時間よりもお金の方を重視する判断ばかり繰り返していると、幸福度は下がっていくということです。
まもなく年度が終わって新年度がスタートしますが、大学卒業や転職や新しい活動をスタートする人など、人生の転機を迎える人は、特にこのことを頭に入れておくといいかもしれませんね。
※参考
Valuing time over money predicts happiness after a major life transition: A preregistered longitudinal study of graduating students
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.aax2615