- 2024-1-18
- 経済の話
こんにちは、中西です。
景気を表す指標の1つである「実質賃金」が、
20ヵ月連続でマイナス
になったことが判明しました。
▼「実質賃金」20カ月連続マイナス 「現金給与」総額は0.2%増も
https://www.fnn.jp/articles/-/640933
そもそも実質賃金とは何かと言うと、実際の給料である名目賃金から、物価の変動の影響をふまえて算出する指数です。
先日、元衆議院議員の安藤ひろしさんが、この実質賃金についてわかりやすい解説をしていました。
例えば、先月はりんご1個10円で、自分の給料が20円だったら、給料でりんごが2個買えたわけです。
その翌月に、自分の給料が21円に上がったが、同時に物価も上がって、りんごが1個13円になったとします。
自分の給料が21円に上がったから喜んで八百屋さんに行って「りんご2個ください!」と言ったら、「はいよ、26円です」と言われるわけです。
つまり、給料の21円では5円足りないので、りんごが1個(13円)しか買えなくなりました。
自分の給料が上がったのに、先月2個買えたりんごが、今月は1個しか買えなくなる。
自分の給料(名目賃金)が上がっても、物価がそれ以上に上がっていると、私たちが消費できる量は減ってしまう、と言うことです。
実質賃金が減り続けるということは、まさにこの「消費に使えるお金が減っていく」ということと、ほぼイコールです。
それはつまり「景気が悪化している」「経済が低迷している」と言える状況になります。
ところが、その現実を錯覚させる現象があるわけです。
▼日経平均株価3万5000円突破!「どこまで上がる?」 昨年末ズバリ予想した株式専門家に聞いた
https://news.yahoo.co.jp/articles/f8f259d99d4a1ad15cca5e234a40eec6c0a881a3?page=1
年が明けてから日本株の上昇が止まらない状況になっています。
日経平均株価は大台の3万5,000円を突破しました。
この数日で3万6,000円台を1度超えて、少し下がりましたが好調は続いているようです。
バブルで長期の史上最高値だった3万8,905円(1989年12月)を超えそうな勢いにまでなっています。
この株価の勢いだけ見ると、
「景気が良くなっている!」
と勘違いしやすく、マスコミや専門家ですら、そういう勘違いをしている人が結構いてビックリします。
株価が上がることは悪いことではありませんが、それが景気回復をまるで意味していないことは、アベノミクスの失敗でもはっきりしています。
株価がどれだけ上がったところで、まず株を所有している人が、国民全体の1割〜2割前後で、国民の多くは株を保有していません。
つまり、国民の多数派は株が上昇しても、その恩恵を受けられません。
国内のお金は大きく分けて、「実体経済」と「金融経済」の2種類があり、株価と言うのは、後者の金融経済の方です。
我々の生活を支えているのは、実体経済の方であり、これは国内で販売されているモノやサービスの売り上げや、そこから得られる所得、その所得を使った消費といったリアルな経済活動全般です。
その実体経済において、国民の多数派が「実質賃金の低下」に見られるように、景気の回復を実感するどころか、使えるお金がどんどん減っている。
国民の多くが株を保有しておらず、件数ベースでは99%が中小企業である以上、大企業の賃金が上がり、株価が上昇したところで、全体としての景気が良くなるはずがありません。
アベノミクスはまさにそんな状況でしたが、この愚策が失敗したのは、株価の上昇で投資家だけ一時的に利益を得て、実体経済は何も変わらなかったからです。
アベノミクスの「異次元の金融緩和」では、一般の国民や企業が全く手をつけられない銀行の日銀当座預金にジャブジャブのお金が増えただけ。
その誰も手をつけられない日銀当座預金と言うバーチャル空間にお金がたくさん増えたことで、日本の景気が良くなるような錯覚を起こし、その錯覚で株価を上げ、投資家と大企業に利益をもたらしたのがアベノミクスでした。
当然、そんなものは実体経済の成長を伴わない単なるマヤカシの政策ですので、盛り上がりの機運が落ち着いたら、また株価も低下していきます。
ベースとなる実体経済の景気が悪いままですから当たり前なのですが、そういう誤魔化し政策をして、選挙で票になる大企業と一部の投資家だけ儲けさせ、
実体経済に対しては、消費税を2回も上げて日本経済をぶち壊してきたのが安倍政権だったわけです。
そして現在、実体経済の低迷を無視するどころか、増税(インボイス制度など)でさらに悪化させ、大勢の弱者を貧困化させ、職を失わせ、路頭に迷わせているのが、岸田政権だと言うことです。
結局、自民党はこの四半世紀、緊縮財政を一貫して貫いており、政策の本質は何も変わっていない。
現在の株価上昇と、実質賃金の20ヶ月連続の低下は、まさにその象徴的な現象です。
自民党の政治家が
「国民の生活を救うために政治がある」
という基本を、全く理解していないように思われる、こんな対談が最近ありました。
▼「自民党はこんなのばっか」石原伸晃氏、「国民の気持ちを考えて」元明石市長の発言を「共産主義的」「きれいごと」と一刀両断
https://news.yahoo.co.jp/articles/e7f6170829c901c7d7332616042fa9246b1feb97
今回の自民党の裏金事件で明らかになった、自民党の政治とカネと派閥の問題について、
以前派閥の長を務めていた石原伸晃氏と、元明石市長の泉房穂氏が激論を交わしています
これを見るとよくわかりますが、泉氏は「国民の生活」を政治で救うことの重要性を強調していることに対して、
石原伸晃氏は派閥や金の話しかしておらず、泉氏に対して「共産主義的」「きれいごと」などと意味不明なレッテルを貼っているだけです。
その政治家が偽物かどうかは、
「国民の生活」
という言葉をどれだけ使っているかでわかると個人的には思っています。
現在の国民の窮状を理解していて、本気で国民の生活を救わなければならないと考えている政治家は、言葉の端々に「国民の生活」と言うワードが出てきます。
ところが、国民の生活を救う気が全くなく、次の選挙のことや自分の立場や名声の維持ばかり考えている政治家は、
その口から「国民の生活」と言うワードがほとんど出てきません。
日頃考えていることが言葉になるので、当たり前と言えば当たり前ですが、信じられないことに
「国民の生活」を救うことに全く興味がない政治家
というのはゴロゴロいるわけです。特に自民党。
石原伸晃氏もその典型で、お父さんの石原慎太郎さんは、若い時代の貧しい生活から小説を書いて芥川賞をとり、その後も弟の裕次郎さんの経営などにも関わっていたので、
こういう人は、お金に苦労した経験があるので、その後富裕層になっても一定以上国民の生活と言うものに意識が向きます。
ところが、生まれた時から豊かな生活を送ってきたボンボンの世襲議員と言うのは、お金の苦労を知らないので、
「なんとしても国民の生活を救わなければ!」
と言う真剣な気持ちが全く生まれないのです。
人間は、自分が経験したことしか、真に自分事として捉えられないからです。
よって大半の世襲議員の頭の中にあるのは
「いかにうまくのし上がるか」「いかに長く政治家であり続けるか」「いかに総理大臣になるか」
みたいなくだらない名声と私利私欲のみ。その典型が先日辞任した西村康稔らの安倍5人衆や岸田総理です。
与党の政治家が「国民の生活」を救う真剣さがなく、票につながる大企業や投資家優先の政策を続けていれば、国家が弱体化するに決まっています。
その結果が、実質賃金の20ヶ月連続低下であり、GDPの4位転落なのです。
株価がいかに上昇しようと思うと、実体経済は良くなりませんので、
この状況で「景気が良くなっている」と経済オンチの発言をしたり、
実質賃金が20ヶ月連続で低下している深刻さを理解できない、お金の苦労知らずの世襲政治家が多数を占める政党が与党である限り、
国民の生活が救われることは、どう考えてもありえないと思います。
国賊の世襲政治家だらけの自民党政権を国民の手で葬り去るしか、日本の明るい未来は絶対にない
ということです。