- 2024-1-14
- 経済の話
こんにちは、中西です。
能登地震から2週間経過しましたが、当初の予想をはるかに上回る被害となっています。
大量に報道されているので詳しい話はここではしませんが、家屋の倒壊で亡くなった方だけでなく、倒壊時にはまだかろうじて生きていた方でも、
そこに襲いかかった土砂崩れや津波や火災から逃げられず亡くなった方も相当おられるようで、非常に心が痛みます。
ただ、そもそも、そういう状況に陥った原因をたどっていくと、先日もお話しした通り、数十年続いた緊縮財政が原因だった割合は相当あると私は考えています。
緊縮財政が恐ろしいのは、大地震などの自然災害に対する備えがおろそかになるだけでなく、災害が発生した後の救済まで足を引っ張ってしまうことです。
道路も橋もトンネルも水道も建築物も防波堤も、
老朽化でボロボロになっていても、緊縮思想に洗脳されていると「財源がない」と言う理由で修繕すらできなくなります。
現に、今の日本は上記のインフラは全国各地で老朽化しまくっていて、崩壊寸前のインフラだらけになっています。
全国の自治体トップに
「あなたの自治体ではインフラの老朽化に不安がありますか?」
と言う質問をした調査では、なんと9割以上の自治体のトップが「不安がある」と回答しました。
しかもそのうち「非常に不安がある」と回答したのは5割以上。
半数以上の自治体がインフラの老朽化に「非常に不安がある」と言うのは、もはや先進国ではなく、発展途上国としか言いようがありません。
あるいは衰退途上国と言うべきかもしれませんが。
▼橋や道路…「廃止もやむなし」4割超 老朽インフラどうしますか? | NHK政治マガジン
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/96528.html
上記の調査は、自治体のトップに対するアンケート調査なのである意味で主観ですが、
実際問題としてすでに老朽化して修繕が必要になっている道路や橋などのインフラの6割が、修繕に着手できていません。
▼修繕が必要な道路橋の6割は未着手か、背景に建設業の人手不足 (1/3)
https://ascii.jp/elem/000/004/034/4034609/
そして、この「老朽化で修繕が必要なインフラ」の割合は、今後の10年でさらに加速度的に進んでいくことがわかっています。
「高度成長期に整備した社会インフラの老朽化が急速に進んでおり、国土交通省による2018年から2033年までの社会インフラの老朽化の推移の予測では、
道路橋は約25%から約63%へ、
河川管理施設は約32%から約62%へと、
今後、建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に高くなる見込みである」(令和4年版 情報通信白書)
今の状況のままでは、あと9年で、日本中の6割のインフラが老朽化で修繕が必要な状態になってしまうのです。
とんでもない話で、その状況で大地震や自然災害が発生するわけですから、今回の能登地震をはるかに上回る悲惨な事態が多発しても全く不思議ではない状況になります。
また、この状況の原因の1つである「建設業の人手不足」も、そもそも緊縮財政が原因で発生してきた大問題です。
これらは自然災害の発生リスクの問題ではなく、
【 緊縮財政という完全に間違った思想に、国民と政治家が洗脳されている問題 】
なのです。誰に洗脳されているかは、言うまでもなく財務省。
財務省の緊縮財政に政治家と国民が洗脳されていると、インフラの修繕や建築が進まず、災害の予防ができないだけでなく、
災害が発生した後にも、国民を救うことができなくなります。
今回、被災地の道路が寸断されて救援隊や救援物資が現場に届くまでに非常に時間がかかったようですが、インフラが老朽化して修繕していないと、こういう形で救える人を救えなくなるわけです。
しかも、緊縮財政のベースにある「間違った財政観・貨幣観」を信じ込んでいると、
「財源は限られている」
と思い込んでしまうため、
本来いくらでも作れるはずのお金ごときを出し惜しんで、救える国民を救わないと言う狂った事態に陥ります。
▼岸田首相、地震の被災者に「最大20万円貸します」であふれる憤激「こんなひどい政府聞いたことない」(SmartFLASH)
https://news.yahoo.co.jp/articles/49c73339a7e4bdc3dab125d2c197eb9274bedfae
上記は「緊急小口資金」という支援制度の中の1つにすぎませんが、現金を素早く届ける趣旨だとしても、
被災して家も家族も失い苦しんでいる被災者に対して、政府がお金を
「貸し付ける」
必要性など1ミリも存在しません。「給付」で何の問題もないわけです。
給付の制度もありますが、調べてみたら家屋が全壊した人に対して、こんな金額では到底足りないとしか思えない額でした。
ちなみに、上記記事のコメント欄のトップは、こんなコメントでした。
—————————————–
義援金を被災者に分配すればいいと思う。
家も今後どうしようか苦しんでる人に、貸し出しは酷、国会議員の経費から算出するのもありだと思う、1回くらい国民の為に議員も余分に貰ってる税金を、こういう時に戻す事も考えてほしい。
道路などの災害工事費は国の予算で賄えばいい。
—————————————–
…このコメントに68,000人もの人が高評価。
確かに、一見もっともらしい意見に見えますが、このコメントを書いた人の脳内には、
「財源には限りがある」(限られた財源をいかに効率的に分配するか)
と言う考え方がベースにあるのが、はっきりと見て取れます。
お金と言うのは、政府が「無から有を生み出す」ことが可能なのに、それができないと完全に思い込んでいる。高評価を押している人たちも。
この考え方をしている限り、まもなく確実に財務省が仕掛けてくる
「能登地震から復興するための復興増税」
と言う、財務省の官僚だけが得する、本来全くやる必要のない愚策中の愚策に、見事に騙されることになります。
何度も言っておりますが、
【 復興増税ではなく、復興国債 】
を発行すればいいだけの話であり、そうすることで誰も負担をすることなく、
政府がお金をゼロから作り出して国民を救うことが可能なのです。
結果として、政府の赤字が増えますが、だから何?と。
過去半世紀で政府の赤字とやらは、170倍以上になっていますが、何の問題も発生していません。
資本主義社会においては、政府がお金を作り出して赤字を増やしていくことで、民間にお金が流れて、民間が黒字になり、国民が豊かになります。
その政府の赤字は、「返済すべき国の借金」ではなく「お金を発行した累計額」に過ぎないのです。
この客観的事実を絶対に国民に知られたくないのが財務省だと言うことです。権力の根源となる税金がまるで必要ないことがばれてしまうから。
「ショックドクトリン」
という言葉がありますが、これは災害や恐慌や戦争といった形で、人々が大きなショックを受けているタイミングで、
その精神的ショックにつけ込んで、自らの利益になる政策を押し通す手口です。歴史上何度も行われてきました。
東日本大震災の「復興特別税」も、ずっと国民が増税で支払わされていますが、これもいわばショックドクトリンの1つです。
普通に善良に生きている国民からすれば、
「大災害の人々の混乱を絶好のチャンスと考え、そのタイミングを利用して、自分たちのやりたい政策を押し通す」
なんてことをする連中が存在することすら想像もできないと思うのですが、
こういう人間の屑みたいな連中は、普通に存在しております。
国民の多くが「税金は財源」だと思っている国は、
こうして善良な国民には想像もつかないような強欲で狡猾な連中に、洗脳され、大混乱を利用して付け込まれ、
必死で稼いだ財産も、家族も、家も、故郷も、
全てを奪われ尽くされることになるのです。
緊縮思想に洗脳されていたことが原因だったにもかかわらず、
「大地震などの自然災害がもたらした不運」
だと知らぬ間に思い込まされてしまうのです。
まずは今後確実に襲ってくる財務省による
「復興増税」
というショックドクトリンを国民は断固認めないようにし、
「復興国債」
で何ら問題ないという認識を持たない限り、本質的には何も問題が解決しないことになるので、
このままでは「人災」が何度でも繰り返されます。