- 2023-6-28
- 経済の話
こんにちは、中西です。
個人的に信用できるジャーナリストだと思っている堤未果さんが、5月末に出版した最新作が、大ベストセラーになりつつあるようです。
▼堤未果のショック・ドクトリン
政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書 690)
内容を知って秒で購入し、現在読み進めてる最中ですが、もうこの時点でメルマガでオススメ本として紹介できると判断しました。
ちなみに、NHKも「100分de名著」と言う番組で、堤さんご本人による解説とともに本書を紹介しているらしいです。
どんな番組か知りませんが、いずれにしろ、こんなマスコミにとって都合の悪いヤバい本を紹介するとは驚きです。NHKの内部にもまだ志のある良心的な人はいるもよう。
先に言いますと、本書は難しい専門用語だらけの堅苦しい本ではなく、非常に読みやすい本と言う印象です。
まず、「ショック・ドクトリン」とは何かといいますと、簡単に言うと、自然の大災害や戦争やテロ、金融危機など、
【 国民がショックを受けている非常事態 】
につけこんで、そのどさくさに紛れて、政府やマスコミが恐怖を煽り、
パニックになって思考ができない民衆を政府と利権企業が洗脳&コントロールし、富を収奪する手法のことです。
より正確な本書の解説は以下。
『ショック・ドクトリンとは、テロや戦争、クーデターに自然災害、パンデミックや金融危機、食糧不足に気候変動など、
ショッキングな事件が起きたとき、国民がパニックで思考停止している隙に、
通常なら炎上するような新自由主義政策(規制緩和、民営化、社会保障切り捨ての三本柱)
を猛スピードでねじ込んで、国や国民の大事な資産を合法的に略奪し、政府とお友達企業群が大儲けする手法です。』
このショック・ドクトリンは東日本大震災の半年後に出版されたナオミ・クライン氏の「ショック・ドクトリン」という本により、世の中に知れ渡りました。
▼ショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く
堤未果さんも当時、その本を読んで衝撃を受け、今回出版されたのは令和版・堤未果版の「ショック・ ドクトリン」本という感じです。
このショック・ドクトリンには5段階のステップがあります。
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ショック・ドクトリンの5大ステップはここで確立したのです。
①ショックを起こす
②政府とマスコミが恐怖を煽る
③国民がパニックで思考停止する
④シカゴ学派の息のかかった政府が、過激な新自由主義政策を導入する
⑤多国籍企業と外資の投資家たちが、国と国民の資産を略奪する
西側メディアはこれを「自由市場の奇跡」などと大いに絶賛しましたが、フタを開けてみるとそれは、
アメリカとそのお友達(銀行家と多国籍企業と投資家)が国家と国民の資産を食い尽くした「コーポラティズム国家」に他なりませんでした。
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…①〜⑤をみると、既視感がエグいっすね(-。-;
コロナでもこれ以上ないほど「ショック・ドクトリン」をやり尽くされました。(具体的な話は本書に詳しく解説されています)
「シカゴ学派」というのは、新自由主義の教祖的な存在のミルトン・フリードマンと言う経済学者がいて、その思想をベースとする学派です。
ちなみに、この流れの中に竹中平蔵もいます。当然、(竹中平蔵が創設した)維新の思想的なベースもここにあります。平たく言えば
「自由市場に任せれば、完璧にうまくいく」
みたいな考え方で、それゆえに新自由主義と言うのは、政府の介入を否定し、何でもかんでも「自由に競争させるのがベスト」と言うことで、民営化していくわけです。
国民の命に関わる水道や電気や交通機関や郵政などのインフラを、儲け主義に陥る民営にしてどうすんの?と思うのですが。
利益が出なくても、国民のために政府がやらなければならない分野は確実に存在しているわけです。
普通に小学生でもわかりそうな話ですが、これがわからない、あるいは間違いをわかっていながら儲けるために嘘をついている連中がいる。
この「自由市場に任せると全てうまくいく」という新自由主義の考え方が、どれだけ愚かで、間違った狂った考え方かと言うのは、既に我が国によって見事に実証されているわけですが、政府ですら、まだこの考え方から脱却していません。
私の記憶では、岸田総理は総裁選の時に「新自由主義からの脱却」も公約にあげていたはずです。
だから私は岸田総理の就任前までは信用しましたし、それ以外にも岸田総理は、
「令和の所得倍増を実現する」
「分厚い中間層を増やす」
と正しい政策を言っていたのですが、総理になった途端に見事に全部ひっくり返しました。
控えめに言っても「完全な詐欺」なのですが、それ以上に問題だと思うのは、岸田総理は何が大事かのポイント位は理解できていると言うことです。
にもかかわらず、「総理大臣になることが最終目標だった」自分の地位を安定的に維持するために、財務省や国際金融資本、アメリカの言いなりになっている。
先日、バイデン大統領が「日本には、防衛費を増額するように3回言った」と暴露してしまって炎上していましたが、結局そういうことなのです。
防衛費を増やすのは重要ですし、そのために防衛国債を発行するならわかりますが、
緊縮財政を推進し、財政支出を拒みまくる狂信的な財務省の強い緊縮の意向を考えれば、いくら海外で戦争があったとは言え、防衛費の大幅な増額は不自然極まりなかったのです。
財務省が「国民のため」に防衛費を増額しようと言う判断をするわけがありません。命かけてもいいです笑 であれば、
「財務省より上の存在」
から岸田政権が圧力をかけられていたなら、すべての辻褄が合います。で、実際バイデン大統領が証言したので確定でしょう。
ある種、これもアメリカによる日本への「ショック・ドクトリン」です。
ロシア・ウクライナ戦争のどさくさに紛れて、自国に都合の良い状況を作り出す。
本書のサブタイトルは
「政府のやりたい放題から身を守る方法」
となっていますが、いかに政府や他国・外資がショック・ドクトリンを始めとする様々な手口で、
日本国民から富と安全を奪い去ろうとしているのかがよくわかります。
政府とお友達企業とマスコミの結託によるクズすぎる手口を広く知らしめるために、
ぜひ100万部くらい売れて大ベストセラーになってほしいと強く願います。
▼堤未果のショック・ドクトリン
政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書 690)
それではまた。