- 2022-11-27
- 経済の話
こんにちは、中西です。
以前、週刊誌の記者さんが何人か集まる覆面座談会で、取材の裏話を語り合うコンテンツがありました。
その中で、芸能人の不倫スキャンダルを追いかけている記者がいたのですが、彼が言うには、
有名人の不倫の証拠をつかもうとして、せっかく1日中ずっと夜中まで尾行して張り付いていても、結局その男女2人はふつうに食事をしただけで解散して、何の証拠も抑えられないこともあるそうです。
実際、単なる男女の友達や知り合いが食事をしたにすぎないこともあり、それでは記事として面白いものに仕上がりません。
そこで、こういう時に「嘘」は書けないので、「印象操作」をすると言うのです。そのよくあるパターンとして、記事の最後に
「こうして2人は夜の街に消えていった」
と書くそうです。
だから記事の最後がこの1文で終わっている場合、間違いなく、その記者は何の証拠も見つかっていないから、印象操作をしているとのこと。
私はこの話を聞いてから、たまに有名人の男女のスキャンダル系の記事を見ると、確かにこの1文で締められていることが何度となくあり、そういう記事は確かに
「何の証拠も抑えられていない」
内容ばかりでした。まさに印象操作そのもの。
よかったら、今度そういう系の記事でこの一文を見つけたら、証拠を抑えられているか確認してみてください。
まず間違いなく、何も証拠は抑えられていないですから笑
さて、本題ですが、今年読んだ中で1番中身のない記事を見つけたのでご紹介します。
その恐ろしいほど中身のない記事を書いたのは、財務官僚出身で大昔から財政破綻論者の
慶応大学大学院準教授 小幡 績
が書いた以下の記事。
▼なぜ官僚や学者の政策はいつも失敗ばかりなのか(東洋経済オンライン)
普段は、文中で紹介する記事はタイトルとともに、必ずリンクを貼っていますが、
今回は私の大事な読者さんにこんな中身の無い駄文を読ませたくないので、リンクは貼りません。
(どうしても読みたい人はタイトルで検索すれば確認できますが、多分今年1番時間を無駄にするのでやめたほうがいいと思います。ポイントの部分だけ以下に引用するので、それで充分です。
なお、全部で9ページもある記事ですが、最後の2ページは突然話が変わり、なんとタイトルと何の関係もない「趣味の競馬の話」だけしかしていません(゚o゚;;))
内容は、具体的な事例や批判相手の名前も全く出さずに、ただ自分の主張を書いているだけの「エッセイ」です。そこらへんの個人ブロガーよりひどいと思います。まさにひろゆきさんの
「それってあなたの感想ですよね?」
のツッコミがふさわしい典型的な文章で、とても学者の文章とは思えません。
では、この記事のどこがおかしいかを説明しますが、こんな駄文を取り上げる理由は、
これによって今の日本の何が問題で、どこに国民の敵がいるかが浮き彫りになるからです。
以下、上記の記事より小幡の文章を引用します。
なお、この中身のない長文記事の中に、正しい積極財政派を主張する教授・政策コンサル・政治家らを、
彼らの名前や具体的な話を一切出さずに、勝手に彼らの主張を部分的に作り上げ
「暗に批判する」「間違っているかのような印象操作をする」
という、とても学者とは思えない姑息な文章を書いていて、取り上げようか迷いましたが、中身がなさすぎるのでやめときます。
そもそも彼が相手の名前や具体的な主張を取り上げて批判しないのは、コテンパンに論破されるからです。(時間を無駄にしたい人はググって読んでみてください。)
そのかわり、ここでは「最もタチが悪い箇所」を取り上げ、そのおかしい理由と問題点を炙り出します。それはこちら。
—————————————–
『MMTといわれる理論を主張する人たちも同じだ。というか、リフレを主張した人々が、もうリフレという麻薬が効かなくなったから、次の洗脳手段を繰り出してきた。
MMT論者は、「財政をいくら出してもいいんだ」「インフレが起きたらとめればいい」「財務省がけちなのが諸悪の根源だ」「とことん財政出動して、それから考えればいい」と主張したが、
インフレになったら、こうした人々はどこかに消えてしまった。』
—————————————–
…MMT(現代貨幣理論)の賛同者の主張を複数取り上げていますが、
「その主張のどこが具体的におかしいのか」
については、一切触れていません。
小幡は財務省出身で、最近このメルマガで何度もお伝えしている通り「財務省の悪事」が、この1年位で急速に国民にバレまくり、
特に今年に入ってからは、これまで財務省問題には触れなかったメディアまでがどんどん財務省を批判しだし、財務省を批判されるのが悔しくて仕方がないのだと思われます。
「財務省が諸悪の根源」
なのは数え切れないほどの証拠とともに、火を見るよりも明らかで、MMT派・積極財政派の言論人や政治家はじめ、メディアも財務省が諸悪の根源である証拠をこれだけ出しているのですから、
無謀にも学者としてそれに反論するなら、「財務省が諸悪の根源」と言う事実の、「何がおかしいのか」を具体的に説明する必要があるわけです。
が、この客観的事実に、具体的に反論などできるはずもありません。だからこうやって、具体的な名前や発言すらとりあげず、「MMT論者」とひとくくりにして「主張だけ」を取り上げ、
詳しい事情をまだよくわかっていない国民に対して、なんとなくMMTが間違っているように思わせる印象操作をしているのが、ありありとわかります。
この箇所だけでもツッコミどころが多いのですが、とりあえず、先に小幡君のこの主張の「最も問題の部分」を指摘しますと、要は彼はこう言ってるわけですよね。
「今年に入ってインフレになったが、インフレがいざ発生したら、自分たちの主張が間違っていたと気づいたMMT論者は、現実に向き合わずに卑怯にも逃げた」
…彼はこう言いたいわけです。少なくともそういう風にしか読み取れません。
しかし問題は、そんな事実(MMT論者が逃げた)など、どこにもないと言うこと、
何より、最大の大問題は、
「小幡は、現在の日本国内で発生しているインフレと、通常の(MMTが説明している)インフレは『全く違う種類のインフレ』だと理解していながら、意図的に読者に
『MMTが間違っているかのような印象操作』
をしている」
…と言うことです。
これは本当にタチが悪い印象操作で、「極めて悪質」といっていいと思います。
このメルマガの以前からの読者さんであれば、この程度の嘘はわかる人も多いと思いますが、一応ポイントを説明すると、
今日本で起こっているのは、ウクライナ侵攻などによる「輸入する原料価格やエネルギー価格の高騰」が原因のインフレです。これを
「コストプッシュ型インフレ」
といいます。コスト(原材料などの経費)が価格をプッシュしている(押し上げている)インフレということ。
当然、原材料の高騰が原因ですから、このインフレで、国民の消費意欲(需要)が高まっているわけではありません。実質賃金も上がらず、物の値段だけ上がるのですから、むしろ消費意欲(需要)は減退します。よって別名「悪性インフレ」ともいいます。
一方、MMTや積極財政派が主張するインフレは、政府が財政出動してお金を国民に出すことで、国民の消費意欲(需要)が高まり、お金を使うようになり、
それとともに、企業や個人事業者が儲かって、給料も上がり、みんなが物を買うから、物の値段が適正に上がっていくインフレのことであり、この健全なインフレのことを
「デマンドプル型インフレ」
と言います。国民の「物を買いたい」という需要(デマンド)が、物の値段を引き上げている(プル)から、「デマンドプル型」ということ。別名「良性インフレ」。
この説明でもうわかると思いますが、「コストプッシュ型インフレ」(悪性インフレ)と「デマンドプル型インフレ」(良性インフレ)は、同じように物の値段が上がるインフレでも、中身が全く違うわけです。
前者は、景気は全く良くなっていないので、国民が苦しいままの状態のインフレ(まさに今のインフレ=悪性インフレ)ですし、
逆に後者は景気が良くなったことで、国民が経済的に豊かになり、消費意欲が高まり、みんながよく物を買うようになったことで、需要と供給のバランスが良い意味で崩れて、物の値段が上がっていくインフレ(良性インフレ)です。
よって両者はまるで正反対のインフレといえます。
MMTが説明しているのは、当然景気が良くなって国民が豊かになる「デマンドプル型インフレ」のことであり、現在の状況は全く違います。
当然、そんな事は小幡君も理解しているわけです。(さすがに仮にも経済学者で、その違いがが分からないほどの馬鹿では無いでしょうから。万が一理解してなかったなら、経済学者の資格が全く無いので今すぐ学者を辞めるべきです)
今回のコストプッシュ型インフレが発生したときに、積極財政派の界隈では
「財政破綻論者たちが、このインフレをデマンドプル型インフレと混同させ、自分たちに都合の良い形で利用して、国民を印象操作してくる可能性が高い」
と言っていました。私もそういうクズみたいなことをやる連中が現れる可能性が非常に高いと思っていましたが、
やっぱりこうやって出てくるわけです。
こんな印象操作をする理由は明白で、まともに真っ正面から批判しても、もはやMMTの主張が正しいのがデータと証拠とともに明らかすぎて、財政破綻論者たちは完全に論破されてしまっているからです。
国民がその積極財政の政策で救われるわけですから、自分たちの過去の間違いを認めて謝罪をすればいいだけですが、
彼らにとっては、国民の生活や命が救われることよりも、自分たちの主張が正しいことを、まだよくわかっていない国民に印象操作で伝えて洗脳することの方が重要なのでしょう。
冒頭で、週刊誌の記者が暴露した、
「何の証拠も出せない時」
にやる印象操作の手口は、文章の最後に
「こうして2人は夜の街に消えていった」
という一文を付けることだったわけですが、
引用した小幡君のMMTに対する中身のない批判の最後の一文に、こうありますね。
「インフレになったら、こうした人々はどこかに消えてしまった。」
…これが財政破綻論者の「学者」が書く文章です。印象操作の手口が、不倫スキャンダルをでっち上げる三流週刊誌の記者と同レベル、ということになります。
小幡君、学者の肩書で一般の国民を舐めるものいい加減にしてもらえませんか?
こうやって国民は、ろくでもない経済学者や言論人たちの印象操作に騙され、
何が正しい政策かわからなくさせられ、
気づかないうちに貧困にさせられ、
大事な人生や生活を破壊され続けているのです。
それではまた。