- 2021-11-28
- 経済の話
こんにちは、中西です。
最近は日曜日と水曜日を経済ネタにしています。
(ネタは気まぐれなのであくまで原則ですが)
さて、18歳以下への10万円の給付金が、事務経費(クーポン印刷費)だけで1200億円もかかることが発覚し、大炎上しております。
しかも鈴木財務大臣は、そのことを知らなかったそうな。
第2次岸田内閣はまだ発足から2週間ほどですが、先週水曜日に問題点を列挙した通り、
もう完全に岸田総理を「ダメ総理」と確定させて問題ない、と私は判断しております。(詳しくは水曜日の記事『岸田総理はもう「ダメ総理」で確定した理由』を)
この給付金に関して、早稲田大学の橋本教授が
「氷河期世代の格差を広げる危険性がある」
と訴えておられます。
▼「氷河期」格差 広げぬ給付を 早稲田大教授・橋本健二氏 – 産経ニュース
ちなみに橋本教授は貧困層よりさらに低い所得となる年収186万円未満の人たちを「アンダークラス」と新しい呼び方で定義付けた方で、
現在このアンダークラス層の人たちが、なんと1000万人にも達しているのです。
もはや完全に発展途上国であり、その原因の全ては「政策の間違い」にあります。個人の努力不足や、経営のあり方の問題ではありません。(それは二次的な要素)
そんな中、駒沢大学経済学部の準教授井上智洋氏が、ベーシックインカムについての提言をされていました。
▼ベーシックインカムで救われるか?コロナとAI失業の“W危機”で困窮者が増加
大筋では同意できる内容なのですが、個人的に特に心の底から同意できるのが以下の箇所。
『さらに、その危機感の薄い要因として「現在は2世、3世の議員が多く、幼少期から恵まれた環境で育ったため、困窮者の状況を想像することが難しくなっている」と分析。』
…これ、このメルマガでもう何度もお話ししておりますが、私の確信している説に
「政治家の過去のキャリアを見れば、その人間が貧困層を救うことに本気になれる人間かどうかわかる説」
と言うものがありまして、今のところほとんど百発百中レベルで当たっています。
例えば元財務官僚で国民民主党の玉木雄一郎氏は、選挙の時は国民ウケするために正しいことを言っていましたが、
選挙終了後はあっさり魂を売って、緊縮財政×構造改革×新自由主義の維新と手を結んでいます。
これで彼が偽物だということがはっきりしました。結局元財務官僚のような人間はダメだったのです。
この手の事例を挙げればキリがないのですが、水曜日にお話しした通り、岸田総理がこんなにも早い段階で財務省に取り込まれた理由は、
結局のところ彼が
「貧困の国民を救うことに本気にはなれないキャリア(生き方)をしてきた人物だから」
です。もう断言して構わないと思っています。
私の中ではこれは最初の総裁選から懸念事項としてあったのですが、結局やっぱりまたこのパターンでした。
どういうことかと言うと、まず岸田総理は祖父からの3世議員であり、非常に豊かな家庭で育ち、
現在60歳ですからバブル期に社会に出て、安定した大手銀行勤めを政治家になるまでしていた人です。
そのプロセスにおいて「貧困で切実にお金に苦しんだ経験」がありません。
別に貧困経験が人として必須と言うわけではありませんが、少なくとも私の知る限り、
その苦労をした経験のない人が、現在の日本の貧困問題を、本気で自分ごととして貧困層を救う気概を持つことはできないのです。(寄り添っているポーズをすることぐらいは誰でもできますが)
結局のところ、人間というのは自分が苦しんで経験した事しか、自分ごととして考えられない生き物なのかもしれません。
岸田氏は自己アピールとして「私は大学受験で浪人をしたから苦労人だ」と言っていましたが、
浪人も貧困も両方経験した身から言わせてもらうと、浪人の経験なんて「貧困の切実さ」とはまるで比べ物にもなりません。
メンタリストDaiGo氏もやたら小学生時代のいじめ経験をアピールしていましたが、彼は豊かな家庭に生まれ、大学時代からテレビに出だして、社会に出て貧困に苦しんだ経験は一切ありません。結果、
「ホームレスや生活保護の人間に命の価値はない」
などと完全に狂っためちゃくちゃなことを言って大炎上しました。
そこまで傲慢になれるのも、私に言わせれば社会に出てから組織で働いた経験もなく(組織経験がないと「本人の努力だけ」で何とかなるという自己責任論になりがち)、その上で貧困経験もないからです。
もちろんそんな貧困経験をしなくてもまともな人だらけですが、一方で彼に貧困経験があればそんなことを言えるはずもないわけです。
結局豊かな家庭で育ち、社会に出てからもずっと個人で成功しているので、貧困の人やそういう状況にならざるを得なかった人たちの、不遇さや気持ちや苦しみが全く分からない。結果、「所得の無い人に命の価値は無い」などと言う、完全に狂った暴言を平気で吐くモンスターになってしまう。
頭のおかしいメンタリストはともかく、岸田総理にはこういう懸念点がもともとあったのですが、
「令和の所得倍増」「看護師・保育士・介護士の給料アップ」「新自由主義からの転換」
など、積極財政の部分では極めて正しいことを言っていたので、そこを信じることにしたわけです。
が、フタを開けてみれば、新自由主義の権化・レントシーカー(政商)竹中平蔵を再び政府に招き入れ、
「令和の所得倍増」はシレっと取り消され、賃金わずか3%に話が変わり、しかも総理がそれを経済界に「お願いする」という有様。
保育士・介護士の給料アップはわずか9000円だけ、看護師の賃金アップに至ってはたった4000円アップという、命をかけて仕事をしている方に対して高校生の小遣いレベルの増加で、看護師の平均給与の1%程度のアップでしかありませんでした。
例えば高校生のお父さんが「お前は最近よく頑張ってるから、来月からお小遣いを3000円から大幅にアップしてあげよう!」と言って期待していたら、
来月の小遣いが「3030円」だったら、どう感じますかね。。お父さんをもう信用できなくなるはずです。
岸田総理にはほかにもこんなのが多数あり(前回の記事参照)、わずか2週間ほどでこれほどまでに信じがたいダメ総理っぷりを発揮しています。
根本にあるのは、すべて「貧困層を救う本気さの無さ」です。少なくとも私はそう確信しています。
この点で私と駒沢大学準教授の井上氏と全く同じ見解なのですが、井上氏はベーシックインカムについて次のように話しています。
「私は『人間はもっと怠けて良い』と思っています。固定ベーシックインカムとして7万円という給付額を提案しましたが、当然7万円では生活できません。
ですが、7万円毎月もらえれば無理してフルタイムで働く必要はないです。ブラック企業に使い倒される心配もなくなり、なにより心が穏やかになります」
… 「怠けて良い」と言う部分だけ見ると違和感がある人もいるかもしれませんが、気になる人は記事の全文を読んでみてください。
私としては7万円と言う数字には異論がありますが、ベーシックインカムの必要性を訴えておられる点では同意です。
特に私は就職氷河期世代なのでよくわかるのですが、現在30代半ばから40代後半までの就職氷河期世代は、
社会に出たときにまともに正社員の職につけなかった人が多いので、非正規の立場のまま人生を進めている人も少なくありません。
この就職氷河期世代で非正規や、正社員でもまともなキャリアを歩めず今も低所得のままの人たちは、
はっきり言ってこのまま人生が進んで行っても、もう未来はありません。
「起業すればいいじゃん」
とか無責任なインフルエンサーがよく言っていたりしますが、起業をして「全員」が「長期的」に食べていけるほどうまくいくことなど不可能です。
そういうインフルエンサーらは、先程の話と同じで、自分は起業してうまくいっていることと、
周りに優秀な人が多すぎるので、世の中には自分で事業を作り出すことなど到底できない人が山ほどいる、と言うことを理解できないわけです。
就職氷河期世代で40代になっても低所得で苦しんでいる人は、ごくごく一部の例外を除き、
このままいくとその大半がいずれ遠くない将来にアンダークラスまで落ちて、さらにはそれすら無理になり、
最終的には生活保護だらけになるでしょう。
しかし何度もお話ししている通り、生活保護と言うシステム自体は人の尊厳を踏みにじる制度になっていて、(わからない人は映画「護られなかった者たちへ」を見て下さい)
このままいくと、我々就職氷河期世代の極めて多くの人たちが人としての尊厳を踏みにじられ、
全く間違った貨幣観のせいで、
「自分は生活保護をもらって生きている。国民みんなからの税金で食べさせてもらっている。本当に申し訳ない。自分は人として価値がない。」
といった負い目のある暗い気持ちで、人生の最後の数十年を生きていくことになります。
正しい貨幣観(財政認識)を持つことができれば、これがどれほど愚かな事態かと言うのが誰にでもわかるのです。
ベーシックインカムにしてしまえば、誰もが受け取るものなので負い目を感じる必要も一切ありません。
さらに「直接的にお金になりにくいけど必要な仕事」は世の中に多数ありますので、自分の生きがいや尊厳はそういうところで満たし、後半生を生きていくこともできます。
竹中平蔵のベーシックインカムのように、自社やつながりのある国際金融資本の利益追求のために、
健康保険、年金、福祉サービスや、貧困層ほど恩恵のあった母子手当や高校授業料の無料化などの社会保障を撤廃してしまう「悪いベーシックインカム」もあるのですが、
正しい貨幣観を持っていれば、そういったこれまで存在していた公共のサービスを撤廃する必要は1ミクロンも存在しないことがわかるのです。
それらを撤廃しないとベーシックインカムができないと考える人たちは、「財源に対する認識」を完全に間違えているわけです。
と言うわけで、最も不遇を受けている就職氷河期世代はもちろんのこと、
どんどん増え続けているアンダークラスの人たちにとっても、正しい貨幣観(財政認識)を持ち、
「日本に財源問題は一切存在しない」
と言う、神様ですら否定することができない客観的事実を、
一刻も早く全国民が共有しなければなりません。
それができなければ、引き続き
「国民の無知につけ込み、存在しない財源問題をでっち上げることで、自分たち個人と組織の利益を極限まで強欲に追求する財務省によって、無数の国民が殺されていく」
と言うことになります。なりますというか、もうなってます。
これ以上国民が財務省に殺されないためには、
「財源問題は存在しない」
と言う財務省が絶対に知られたくない事実を、全国民が理解していくしかありません。
逆に言うと、それさえできれば、国民の誰もが人生に希望を持てる明るい未来が
あっという間に、普通に訪れるということです。
それではまた。
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