- 2021-4-8
- 未分類
こんにちは、中西です。
前回は、若者に公務員志望者が増えている現状と、その理由についての話でした。
今回もこの流れで公務員についての話を。
簡単に前回のおさらいをすると、大学生の公務員志望者の割合は、調査にもよりますがリスクモンスター社の調査では、
国家公務員と地方公務員を合わせると2人に1人ぐらいが公務員を志望していました。
この若者の安定志向を危惧する識者や大人の皆様もいると思いますが、民間企業で働くことを不安視して、
「安定している公務員になりたい(。>д<)」
と考える若者が増えてもおかしくないと、私は思います。
中には「民間企業よりも楽に働けそう(*´-`)」というイメージで公務員になりたいという人もいるの だろうと推察します。
一方で、 「公務員に対する一般的なイメージ」とは真逆の実態も存在しています。
それも複数あるのですが、一つは
「公務員だからといって安定しているとは全然限らない」
ということです。
その理由自体も複数あるのですが、まず現実問題として
「非正規公務員」
がこの15年ぐらいで激増しています。
非正規公務員というのは、「常勤公務員」の枠外で採用されている「非常勤の公務員」のことです。
派遣会社から派遣されて、派遣社員(派遣職員)として入ってる人も多いです。
データを見ると、2005年あたりからどんどん増えていて、今や地方自治体で働く公務員の3人に1人が非正規公務員になっています。
厚労省に至ってはなんと2人に1人以上となっています。
これは私の実感とも一致していて、プライベートで新しくお会いした人が省庁や役所などの自治体で働いている場合、詳しく話を伺っていくと非正規の方だったということが何度もあります。
あくまで私の主観的な実感ですが、ここ数年、「非正規の公務員の方がすごい勢いで増えている」という感覚がありました。
しかしこれは感覚的な話だけではなく、データでも明らかで、全労連が制作した「非正規公務員酷書」という資料を見ると、
公務員に占める非正規公務員の割合は、過去15年で急増しています。
▼参考:非正規公務員酷書(全労連公務部会によるPDF)
上記の資料の3ページ目に「公務職員の非正規化は深刻」というテーマで報告がされていますが、
そこに掲載されているグラフを見ると、明らかに非正規公務員が近年激増しているのが分かります。
しかも 資料の4ページ目から書かれているように、非正規の仕事だから責任が小さいわけではなく、「専門性も要求されている」のです。
つまり非正規で給料は非常に低いのに(仕事によっては時給900円も)、専門性は要求される場合も多いということです。
以前このメルマガでも「ハローワークの職員が非正規になっている」という話がありましたが、ハローワークの職員などもまさにこれに該当するでしょう。
では非正規の公務員の安定度はどの程度かと言うと、もはや言うまでもないかと思いますが、安定度合いは非常に低いわけです。
非正規ですから、「臨時職員」や「非常勤職員」という位置づけですので、前提として長期で働かないことになっているのです。
従って以前お話ししたような、ハローワークの職員で失業者の相談にのっているのに、契約期限が切れると、翌日から今度は自分が失業者になると言ったことも起こっています。
▼ハローワーク職員がワーキングプア? 年収200万円公務員の実態
「いや、自分は正規の公務員を目指す。非正規公務員にはならない!」
と思った若い人もいるかもしれません。
その目標自体は別にいいのですが、問題はなぜこれほどまでに非正規公務員が急増していて、今後も急増していくかを理解しておかないと、足元をすくわれる可能性が高まります。
勘の良い人ならもうわかったかもしれませんが、非正規公務員がこれだけ急増している理由は、
「緊縮財政だから」
です。
つまり政府がとにかく国民に使うお金を削減して、
「無駄を減らそう」「政府の収支を黒字にしよう」
とする緊縮財政を行っているから、「公務員の人件費を削減する」という方向に、必然的になるのです。
企業でも役所でも、あらゆる組織において人件費が最もお金がかかるので。
その「公務員の人件費の無駄を減らす」という緊縮思考をベースにした財政政策によって、日本は正規の公務員をどんどん減らしてきました。
そのプロセスにおいて、パソナのような派遣会社が仲介に入り、役所の職員をことごとくパソナなどの派遣社員に切り替えて行ったのです。
ちなみに大阪市の窓口業務は、ほとんどがパソナの派遣職員になっています。
当然、竹中平蔵大先生はピンハネで笑いが止まらない状況です。彼らが構造改革や規制撤廃をしつこく要求するのはそういうこと。国や自治体が管轄していた規制や構造をぶち壊せば、簡単に大儲けできるから。
そうやって非正規公務員が増えるということは、国内に所得(給料)が不安定な人が増えることとイコールです。
そして所得が不安定になると、当たり前ですが自分の収入源がいつどうなるかは分かりませんから、お金を使わなくなります。 消費をできるだけ抑えるわけです。
そもそも色々消費できるほどのお金も貯まりませんし、できるだけ消費を抑えて貯金をしておこうと考える人が増えるに決まっているわけです。
結果当たり前ですが、 GDP が低下して、デフレから脱却できずに不況がさらに深刻化していきます。
何より緊縮財政がベースにあるわけですから、正規の公務員として働けるようになったからといって安心できるわけではありません。
繰り返しますが財務省による緊縮財政が続いている限り、人件費はどんどん削減していく方向に進んでいきますので、
正規の公務員自体を減らしていく方向に進んでいくのが必然です。(と言うか実際この15年そうなってきた)
そうすると「採用されたら生涯安泰ヽ(´∀`*)ノ」と思っていた正規の公務員ですら、緊縮財政のためのコストカットによって、年々リストラされていく可能性がどんどん高まっていくということです。
ちなみに私が以前からそのリスクが高くなっていると考えている公務員の一つが、「学校の先生」です。
これは本メルマガでも前に何度かお話ししていますが、このまま緊縮財政が続いた場合、日本中の学校の先生がリストラされまくる可能性があります。
というのもすでにずっと前から、授業を映像(動画)で行うことはシステム上簡単にできるからです。20年前の時点でも余裕でできる状態でした。
私は浪人時代に予備校で映像授業を受けていたので感覚として分かるのですが、映像授業の教室(机のあるミニシアターみたいな感じ)に入って、
全国の人気講師の生ライブの授業を受けたほうが、教え方が下手なリアルの先生に教えてもらうより、ずっといいと言うのが経験で分かっています。
学校の先生も各教科ごとに、「全国から選び抜いた本当に教え方が上手い数人の先生」だけ残して、その人たちに授業をやってもらってもいいわけです。
例えば日本中に何万人もいる古典の先生をリストラして、本当に教え方が上手い(元暴走族の吉野敬介先生みたいな) 5人ぐらいの古典の先生だけを残し、その5人に日本中の学校の古典の授業をやってもらう。
質問とか分からないことがあれば、それこそ質問受付専門の非正規の先生にお願いしたり、オンラインで聴ける在宅の先生に質問できるようにしておく。
こうすると全国の古典の先生数万人分の人件費が浮くわけですから(しかも選ばれた5人の先生の給料は、これまで数万人に払っていた分のうち数人~10人分ほどをそのうち1人に転換するだけで、給料の額を数倍~10倍アップも簡単で、年収数千万円ぐらいになるためより真剣に教えてくれる)、とんでもない金額の「コストカット」ができます。
それを全教科でやれば、素晴らしい「無駄の削減」ができるじゃないですか<(_ _)>
(以上は思考実験みたいなものですが、よりリアルな話として、管轄の問題で全国的にやるのが無理だとしても、都道府県ごとにやるだけでもとんでもない「経費削減」になります。そもそも都道府県に十分なお金がないのも、緊縮財政で政府が地方交付税交付金をろくに出さないからです。結局元をたどれば、地方の財源の問題も、政府の緊縮政策にあるのです)
緊縮財政を進めていくと、必然的にそういう結論になるのです。
上記の先生の大リストラは一見合理的なように思えるかもしれませんが、そんなことを全教科でしてしまったら数十万人分の安定した雇用が失われるわけですから、
その先生としての仕事を失った人たちは消費を減らすか失うわけで、それは日本全体の GDP を確実に低下させます。
それが意味するのは、国民全体のさらなる所得の低下であり( GDP三面等価の原則により、誰かが消費を減らすと、必ず誰かの所得が減るため)、
平たく言うと、国民みんながまた一段と貧乏になるということです。
今この国はあらゆる業界・分野で、そういう方向を突き進んでいるわけです。
緊縮財政(「無駄を減らす!」という一見正しそうな、資本主義社会における愚かな考え)が全てを狂わせているので、
「公務員だけが安泰」
ということは長期的に見るとありえない話なのです。
しかも公務員で首を切られてしまった場合、民間の企業で働いていた人よりも企業に価値を提供するスキルがありませんので、
例えば30代半ば以降の年齢の公務員の方が首を切られた場合、よくて非正規公務員、悪い場合は全く異業種のバイト、最悪路頭に迷う可能性もあるわけです。
公務員を目指したい人は目指していいと思うのですが、そういったリスクまで考えると、
「一生安定しているから公務員!」
という考え方に関しては、少なくとも私には非常に心配になる“お花畑の考え“”にしか見えません<(_ _)>
そして実は公務員に関して、もう一つ重要でディープな話があるのですが、
・・・このまま続けると長くなるので次回に続く(/・ω・)/マタカイ
To Be Continued