- 2025-2-19
- ChatGPT
こんにちは、中西です。
ChatGPTが登場してから2年が経ちますが、私の中でずっとテーマになっているのが
「AIの時代には読書は無意味になるのかどうか」
ということです。
この問題について、未だに明確な答えは出ていません。
ただ、少なくとも現時点では、読書の価値が低下したり不要になったとは思えません。
その理由はシンプルで、書籍の内容はAIに情報として取り込まれていないからです。
例えば、新刊本の内容をChatGPTで知ろうとしても、内容は教えてもらえません。
これは著作権の問題があるためです。
ただし、全てが分からないわけではなく、概要程度ならChatGPTが回答することもあります。
また、大ヒット漫画などであれば、その概要や内容も比較的詳しく答えてくれることもあります。
しかし、本の一冊一冊の内容がAIに取り込まれているわけではないため、よほどその本の内容を誰かがブログなどで詳しく紹介していない限り、多くの書籍の情報をAIで確認することはできません。
つまり、本を買う以外にその内容を知る方法がないということです。
ここで問題になるのは、ベストセラー以外の本の発行部数が極端に少なくなっている点です。
内容がとんでもなく良いのに、数千冊しか販売されていない本は無限にあります。
そういう本は当然実際に読んだ人も非常に少ないわけです。
さらに、AIはその本の情報を取り込んでいないため、その内容を知っている人はさらに限定されます。
このような状況の中で、そういった良質で希少な本をたくさん読んでいる人は、ChatGPTが持っていない知識やアイデアを数多く持っている可能性が高まります。
また、読書を通じて人には無い見識を広げることで、他の人が思いつかない発想やアイデアを持つ人間になれる可能性も高まるわけです。
資本主義社会においては、福沢諭吉の『学問のすすめ』の時代から、読書や勉強の価値が強調されてきました。
そして、この価値はAI時代においても変わらない可能性が高いです。
なぜなら、AIが取り込めない情報を持つことが、むしろ希少性を生み出すからです。
ただし、読書によって得た知識がどれほど役に立つのかについては、一概には言えません。
しかし、読書は単なる知識の獲得だけでなく、「思考力を養う」という面でも非常に重要です。
特に、自分のレベルを超える本を読むことは、思考力を鍛える良い訓練になります。
筋肉に負荷をかけることで筋力が増すのと同じように、自分のレベルを少し超える本を読むことで、知識だけでなく思考力も向上するのです。
一方で、AIやSNS、ショート動画ばかりを利用していると、深く思考する機会が失われやすくなります。
特にショート動画は、アルゴリズム的に何百万再生、何千万再生と大ヒットした動画をさらに大勢の人に見せていく仕組みになっているようです。
(もともとTikTokがそういう仕組みだったのですが、YouTubeのショート動画ではそういう仕組みにしなかったところ、TikTokとどんどん差が開いてきたので、YouTubeのショート動画も今はそのような仕組みに変わったそうな)
その意味で、読書の体験は、情報の希少性に加え、深い思考を促す重要な訓練であり、他のメディアやAIでは代替しづらいものとなります。
余談ですが、ChatGPTが取り込めない情報源がもう一つあります。
それは、X(旧Twitter)です。
Xの投稿はログインしないと閲覧できないため、ChatGPTはX内の情報を取得することができません。
一方、YouTubeの動画などはChatGPTが情報として取り込めるようです。
時々、ChatGPTの回答にYouTubeの動画リンクが含まれることがありますが、Xの投稿が紹介されることはありません。
つまり、書籍とXの情報は、少なくとも現時点ではAIが取り込むことができない領域です。
そのため、これらの情報源から知識を得ている人は、AIが回答できない情報を持つことになり、独自性を発揮しやすくなる可能性があります。
ただ、これも今後どうなるかは分かりません。
著作権の問題があるのは確かですが、そもそもAIがウェブ検索を通じて情報を取得している時点で、すでに多くのウェブ記事の著作権に触れているとも言えます。
私も著作権の厳密な法的定義は分かりませんが、普通に考えるとそうなるのではないかと思います。
ただ、繰り返しますが、情報そのものも大事ですが、物事を深く考える訓練がAIの時代において極めて重要になると考えています。
むしろ、AIの時代だからこそ、深く考えられる人がより価値を持つのではないかと思います。
AIは間違った情報を、正しい情報のように堂々と回答することがあります。
そのため、本当に重要な内容であれば、その情報が正しいかどうかを調べ、慎重に判断する必要があります。
その時必要になるのは、思考することを面倒だと思わない鍛えられた脳ですね。
ショート動画ばっかりに慣れて、思考する「筋力」を鍛えていない人は、面倒くさくなって全部AIに任せてしまうでしょう。
全部AIにお任せで本当にうまくいくならそれでも良いのでしょうが、それでうまくいくわけがありません。
AIがさまざまなことを人間に代わって考えてくれるようになっていますが、最終的な判断や深い思考は人間の役割として残り続けます。
人と違う情報をたくさん頭に入れていて、かつ、深い思考力を持っていて、その考える力からアイディアをたくさん生み出せて、かつAIを駆使できる人。
こういう人が、AI革命の時代に活躍できる人材ではないかと思っています。
何の事はない、これまで活躍できるタイプの人材が、AIも駆使できるかどうかと言う話であり、活躍できる人材の本質は変わらないのではないかと。
というわけで、ChatGPTをはじめとするAIが書籍の情報を少なくとも現時点では取り込めないという点と、
物事を深く考えるための訓練という観点から、読書の有用性はまだまだ消えないだろうと私は考えています。
もちろん、これは現時点での私の見解であり、AIの進化や新しい技術の登場によって見解が変わる可能性もあります。
しかし、ChatGPTが登場してからの2年間を踏まえて考える限り、読書の価値が低下するとは思えません。
むしろ読書をする人が減れば減るほど、読書の価値が高まります。
AIはまだ革命の過渡期であり、今後も想定を超えるような出来事が何度も起こるでしょう。
直近でもイーロン・マスクが「過去最高に賢いAI」をリリースしたことで話題になっていますが、こうしたことは今後も頻繁に起こるはずです。
私たちは常にAIの動向を注視し、その変化の先に何があるのかを考え続ける必要がある時代に生きています。
この状況を大変だと思って楽しめない人は、生き残れない可能性がどんどん高まって行くに違いありません。