- 2021-2-8
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こんにちは、中西です。
私は就職氷河期世代なのですが、そのおかげで社会に出てから恐ろしく長い期間、社会の底辺で苦しみました。
常に「このままでは本当にやばい」と思い続けてきましたが、一気に良くなる打開策はなく、
生き残るための勉強を続けて、リスクを取って(といっても大したリスクじゃないですが)いくつもの挑戦や試行錯誤を延々繰り返して行った結果、
だんだん状況が良くなっていって、ある時期から、長い冬をようやく脱出することができました。
私はたまたま運良く脱出することができましたが、自分で努力した要素も大いにあるので、すべてが運だけでもないと思います。
ただ、だからといって我々の氷河期世代で今でも苦しんでいる人たちが「自己責任」だとも到底思えません。
といいますか、氷河期世代が苦しんでいるのは、客観的事実として「自己責任」などではありません。
単なる政策のミスです。
就職氷河期世代あたりから「緊縮政策」と言うとんでもない間違いが行われて(発端は1995年の武村正義元大蔵大臣による「財政危機宣言」)、
その天下の大愚策が、なんといまだに続いているわけです。
ところが世間やマスコミでは、ある時期までそれをずっと「若者の人生がうまくいっていないのは自己責任だ!」とアホなことを言い続けてきました(今だに言っている信じがたい頭の悪い人もたまにいますが(ーー;))。
結果、就職氷河期世代が今どうなってるかと言うと、この世代の最初の人たちは、もう
「死を選択するレベル」
まで追い込まれて来ている人も大勢いるのです。
▼「生きて苦しむより、死んだほうがマシ」就職氷河期世代、51歳男性の絶望(プレジデントオンライン)
上記の記事を全て読みましたが、就職氷河期世代について事実とデータに基づき、非常に深いレベルでまともな考察をしている記事でした。(著者の女性ジャーナリストも氷河期世代)
今若い世代の人は、この話を「自分とは別の不遇な世代の話」だと思う人も多いでしょうが、
私に言わせれば就職氷河期世代こそが、
「今の若者世代の未来の姿」
である可能性が極めて高いです。
もっと正直に言うと、今の就職氷河期世代の姿よりも、今の若者が私たちと同じ位の年齢になったときには
「もっとひどい状況になっている可能性の方がどう考えても高い」
です。無駄に怖がらせる気は無いのですが、冷静に客観的に論理的に考えて、そういう結論にならざるをえません。
「緊縮政策がこのまま終わらないなら」と言う条件付きで。
2019年までならまだ若者世代は「就職氷河期の世代とは違ってラッキーな世代」だと認識していてもよかったのですが、
ご存知のようにコロナがここまで不況をもたらしているので、今では
「若者世代の未来の姿が、今の就職氷河期世代の姿。もしくはそれよりひどくなる」
と言う可能性の方が高くなってきているのです。
そうであれば今の若者世代の人には、私たち就職氷河期世代がどういう経過をたどり、どういう状況に陥っているかを知り、
自分はそうならないようにリスクを回避していくことを他山の石として学んで欲しいわけです。
そこで、上記の記事から一部引用しますと、
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■できるか?3年間に30万人を正社員化
国は就職氷河期の定義を「おおむね1993年卒から2004年卒。
大卒でおおおむね37~48歳、高卒で同33~44歳」(2019年4月時点)とし、その中心層を
「35~44歳の371万人」
としている。同世代は、1991年のバブル崩壊、1997年の金融不安、2001年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショックなどの影響を受けてきたうえ、今、コロナショックのさなかにいる。
(中略)
国は就職氷河期の「中心層」を35~44歳と強調しているが、それは支援する対象者を少なく見せるもので、
実際にはバブル崩壊後に社会に出た45~49歳(2019年時点/1970~1975年生まれ)も多く存在する。
就労支援の専門家が「ただでさえ正社員採用は難しい」という45歳以上の存在を覆い隠すようなもので、本来は、より重点的に支援すべき年齢層だ。
■切り捨てられた45歳以上
非常勤の公務員として雇用に関する部署で働く池野良太さん(仮名、51歳/2019年は49歳)も氷河期世代に当たり、
「40歳くらいまでならチャンスがあるかもしれないが、45歳以降で正社員になるのは厳しい」
と切実な思いを語る。
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…と言う内容。
簡単に言うと、国が就職氷河期世代の支援をしようとしているが(3年間で30万人を正社員にするのが目標)、
この支援はうまくいかない可能性が高いと言う話。
1000歩譲って仮に目標を達成できたとしても、正社員になれるのは30万人でしかないわけで、国が勝手に定義した少ない見積もりの371万人で換算しても1割以下でしかありません。
上記の通り、実際の氷河期世代はその+ 5年上まで入りますから、スーパー奇跡的に政府の支援策がうまくいって30万人を正社員にできたとしても、全体のごくごくごく一部でしかありません。
さらに言えば
「正社員になったところで安定でも何でもない」
時代に入っているわけです。正社員になれたから問題解決で万歳なんて、時代錯誤も甚だしいと思います。(非正規よりは良いですが)
これは私の考えですが、就職氷河期世代の問題は政府の失政によるものであり、今さら「政府の職業支援」ごときで根本的に解決させることなどできるわけがありません。
普通に企業経営の実態を理解していれば、これがほとんど茶番に過ぎないことがわかるはずです。
官僚など役人のみなさんは企業の現場で働いたことがないから、その辺の感覚がわからないわけです。だからこの手の支援は(昔からですが)毎度毎度的外れなものが多い。
身も蓋もない現実を端的に言えば、
「45歳以上のスキルのない人間などいらない」
というのがほとんどの企業の本音なのです。
よほど人手不足の業界は別ですが(介護・運送・建設・農業など)、今の日本の状況で人手不足になっている業界に、45歳以上の別業界の人間が新たに入社してマッチする可能性は非常に低いと思います。
そもそもそういう業界は体力が重要になる事も多いので、45歳以上の体力も落ちて、柔軟性も素直さもなくて、一応社会人生活は長いので無駄にプライドだけが高くなっているおっさん(本当にたくさんいます)の新人なんて、扱いにくくてしょうがないわけですm(_ _)m
まして記事のような50歳を超えている人となると、人手不足の業界を除き、
スキルもないその年齢の人が普通に転職・就職できることは「まずありえない」と思います。論理的に考えて当たり前なんです。
つまり今20代30代40代半ば位までの人で、
「どこの会社でも通用するスキル」
を身に付けていない人がいたら、その未来にあるのは上記の記事のような絶望です。
ゆでカエルの理論と同じなので、今何とか会社に雇用されていたとしても、日々スキルを磨いて身に付けていないのであれば、年々労働市場で不利な状況になって行きます。
会社員の寿命は40歳位までですし、最近はどんどん前倒しになっていて、今後は下手したら30代半ばあたりになる可能性も出てきています(実際去年、有名企業で35歳以降をリストラ対象にした企業もあります)
と言うわけで、現在35歳から50歳前後位までの就職氷河期世代の現状は、今の10代20代の若者にとっての
「自分の未来の姿」
になる可能性が非常に高まってきているので、
就職氷河期で苦しんでいる人たちの現状を「自分とは関係ない別の世代の問題」と考えないように注意してほしいと思います。
「就職氷河期世代の人たちの姿は、このままだと『自分たちの未来の姿』になる可能性が高い」
と考え、就職氷河期世代で苦しんでいる人たちの現在までのプロセスや現在の状況から、他山の石・反面教師となる部分を探し、自分がそうならないように学び取ってほしいと思う次第です。
それではまた。
P.S
今回は未来に絶望しそうな話になったので、「本質的には日本は希望も十ニ分にある話」を次々回したいと思います。
緊縮政策を終わらせることができれば、日本にバラ色の未来が訪れる可能性も十分にありますから。