こんにちは中西です。
前回は、新年の決意をして、目標を設定することで、
目標を設定せず「後で何とかしよう」としていた人と比べて、
【 半年後には10倍以上の成功維持率の開きがあった 】
という研究をご紹介しました。
今回もこの流れで、目標を決めた後の「計画を作る際の注意点」についてお話しします。
計画を作成する際、最も注意すべきは
「非現実的な計画を作成してしまうこと」
ですね。
新年は1年の中で最も大きな切り替わりです。
いわゆる「フレッシュスタート効果」が働くわけですが、
これは新年や誕生日、月の始めなど、区切りの良いタイミングで心理的なリセット感覚が生まれ、新しい行動に向かいやすくなる現象です。
ところが、新年という大きな区切りでは、このフレッシュスタート効果が強く出過ぎて、非現実的な計画に陥りやすくなるリスクも高まります。
やる気が高まるのは良いことですが、計画が非現実的で破綻してしまったら意味がありません。
私もコーチングプログラム内で、メンバーさんの週間目標、月間目標、3ヶ月間、半年間といった目標を数多くチェックしていますが、
目標のスパンが短いほど現実的に考えやすくなります。
逆にスパンが長いほど非現実的な目標になりやすいと感じています。
(この傾向は私の実感だけでなく、心理学の研究でも認められています)
これは人間が計画を立てる際に未来の出来事や自分の行動を過小評価する認知バイアス、いわゆる
「計画錯誤」
に陥りやすいからです。
計画錯誤とは、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが提唱したプロスペクト理論に関連する認知バイアスです。
プロスペクト理論とは、簡単に言うと、人間は「得をするとき」よりも「損をするとき」により強く感情が動くため、
【 損を避けるために誤った判断をしてしまう 】
という理論です。
この理論に基づく認知の歪みが、計画錯誤を生み出します。
例えば、半年かかる作業を2ヶ月でできると楽観的に見積もることが計画錯誤の典型例です。
そのため、計画を作成する時にはこの点を念頭に置き、現実的な計画を立てる必要があります。
計画錯誤を防ぐ方法としては、以下の3つが別の研究で認められています。
1つ目は、予定より多めに時間やリソースを見積もり、「余裕を持たせる」ことです。
これは理屈は簡単ですが、感情的には、自分が理想よりできない現実を受け入れる必要があるので、意外と難しかったりします。
真剣にリアルに考えた上で、余裕を持たせる必要がありますね。
2つ目は、「過去のデータを活用する」ことです。
たとえデータがなくても、自分の過去の経験則を活用し、計画が楽観的すぎて失敗した例を振り返ることで、より現実的な見積もりが可能になります。
3つ目は、「外部視点の導入」です。
第三者に計画をレビューしてもらい、現実的かどうかをチェックしてもらうのが効果的です。
私もコーチングプログラム内で、メンバーさんの目標を確認する際に「本当に現実的か」をよくお聴きして、チェックしています。
最初は盛り込みすぎた計画になることも多いですが、慣れてくると現実的な目標を立てられるようになります。
また、「定期的に進捗を報告する仕組み」も、計画の成功率を高める助けになります。
こんな感じで
「余裕を持たせる」
「過去のデータ(経験則)の活用」
「第三者の視点の導入」
といったポイントを意識することで、現実的に計画を立てやすくなりますので、参考にしてみてください。
というわけで、人間は誰もが計画を立てる際に楽観的になりがちなので、ご注意くださいませ。
そのことを理解した上で、現実的な計画を作成し、目標を達成していきましょう。
偉そうに言っていますが、私自身も計画作りが苦手で、失敗を繰り返しながら工夫してきました。
苦手というか、脳がフリーズするレベルで、大体私がパンクするのはこの辺に関わる部分です(-。-;
とはいえ、その結果、こうしたテーマに興味を持ち(持たざるを得ず)、それにまつわる情報発信やプログラム運営を行うに至っています。
集中力の分野も、私がまるで集中できない人間だったから、試行錯誤を繰り返す必要が生じ、
この分野に興味を持ち、専門分野として取り組めています。
同様に、私が最初から計画をうまく作れて、何事も毎回予定通り進められて、難なく目標達成できるデキる人間だったら、
デキない人の気持ちがわからないため、今行っているような情報発信も事業もしていなかったのは間違いないです。
ダメな自分を自覚しながら、目指す目標や夢に向けて地道に試行錯誤を繰り返すしかありませんね。
計画錯誤に注意しながら、試行錯誤をする!
(今年1番うまいこと言えた)
我々の厄介な認知バイアスに負けず笑、素晴らしい1年を作り上げていきましょう!
Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk
https://www.jstor.org/stable/1914185