- 2025-1-4
- 仕事の話, 働き方・キャリアの話, 受験を突破する健康管理術
こんにちは、中西です。
前回は、AI革命においてインターネット革命以上に
「自分の頭で考える人」
が有利になる、という話をしました。
これは私自身の現時点での実感ですが、おそらく間違いないと思っています。
AIの話をする中で「人間が物を考えなくなるのではないか」という疑問を持つ方もいますが、それは非常に考えにくいです。
確かに、これまで人間が行ってきたことや考えていたことをAIが代替する部分は増えるでしょう。
しかし、最終的にAIをコントロールし、指示を出すのは人間です。そのため、AIを使うことで人間が物を考えなくなる、ということはありえないと思います。
ただし、考える内容や質は、これまでとは大きく変わる可能性があります。
そこで今回は、仕事で頭を使って考えることの重要性が分かる研究を一つご紹介します。
結論から言いますと、
【 仕事で頭をあまり使わない人は、70歳を超えると軽度認知障害や認知症になるリスクが高くなる 】
ということが判明しています。
この研究は、ノルウェーのオスロ大学病院が行ったものです。
研究では、脳を使う仕事、つまり認知的に刺激の多い仕事が、高齢になったときの軽度認知障害や認知症のリスクを減らすかどうかを調べました。
参加者はノルウェー在住の69歳から104歳の約7000人で、男女はほぼ半々でした。
彼らの30歳から65歳までの仕事の内容を調査し、仕事でどれだけ脳を使うかをRTIスコアという指標で評価しました。
RTIスコアが低いほど脳をよく使う仕事とされ、逆にスコアが高いほど脳をあまり使わない、いわゆる単純作業が多い仕事と判断されます。
その上で、70歳以上の認知障害や認知症の有無を診断しました。
割合としては、低RTI(脳をよく使う仕事)の人が約20%、中程度のRTIグループが約60%、高RTI(脳をあまり使わない仕事)の人が約20%でした。
このデータを年齢、性別、学歴、収入、健康状態を考慮して分析した結果、
【 高RTI(脳をあまり使わない仕事)グループは、低RTI(脳をよく使う仕事)グループに比べて、
軽度認知障害のリスクが1.74倍、認知症のリスクが1.37倍になる 】
ことが分かりました。この傾向は、学歴や健康状態を考慮しても大きく変わりませんでした。
この結果から分かることは以下の2点です。
1. 脳を刺激する仕事をすることで、高齢になっても認知機能を守る助けになる。
2. 30歳から65歳の働き盛りの時期に、脳を使う活動を増やすことが重要である。
研究者たちは、さらにどのような仕事が特に効果的かを研究する必要があると述べています。
資本主義社会、特にAI時代においては、自分の頭で考えることが一層重要になると考えられます。
さらに、それは将来の認知症予防にもつながる可能性がある、ということですね。
また、現役を引退しても年齢を重ねても、脳を使う習慣を持ち続けることが大切です。
筋トレと同じように、脳も使わなければ衰えていくということなのでしょう。
もし現在の本業であまり頭を使う機会がないという方は、副業やプライベートの時間にでも脳を使う活動を心がけてみてください。
ちなみに、個人的には脳トレとかはいまいちだと感じますね。
それが好きな人はいいですが、あまり好きでもないのに、脳を使おうと脳トレなどをしていると、ストレスで脳がやられる可能性もあります(ーー;)
それなら好きなゲームでもやっている方がよほど良いと思いますね。
実はゲームは大規模調査でプラスの影響があることも判明しているのですが、これについてはまた近日ご紹介したいと思います。
何をするにしても、楽しみながら頭を使うのが大事ですね。
※参考
Trajectories of Occupational Cognitive Demands and Risk of Mild Cognitive Impairment and Dementia in Later Life
https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000209353